地質学

ここでは,地質学についての簡単な知識を紹介します。

大地の成り立ちを知りたい

地質学という学問分野は様々な細かな分野から成り立っています(化石・堆積構造・岩石・地形などなど)。要はこの大地はどのようにして出来て,現在のようになったのかを知りたいということを追求する学問といえると思います。

自分の生活しているこの「世界」のあり様を知りたい”そういう好奇心に対して一つの見方を与えてくれる学問の一つだと思います。

現代社会での応用

社会の地理条件の原因を知ることができ,長期的な視点を持って現代社会のあり様についてとらえることができます。

特に,地質学的な現象の多くは現代社会においては「災害」と呼ばれる現象と直結していることが少なくないため,防災や減災といった分野に「基礎的な視点」を提供しています。生活圏の多くが文明社会に覆われ,自然本来の姿が見えにくくなってきた今だからこそ,地質学の素養は様々な意味で重要になってきていると言えるのではないでしょうか。

地質学を理解するために

「地質図」を読み解けるかどうか。これが境目だと思います。地質図とは,地形図にその場所を形作っている地層(岩石)がどのように分布し,広がっているかを色分けしたり記号や区分線などで示した図です。

これが自由に読み解けると,その場所がどのような時代を経て現在に至っているのかをまるで「見てきたように」捉えることができます。簡単にそれができれば最高なのですが,なかなか難しいものがあります。

岩石を知れば,地質学が分かってくる

個人的には,地質学を理解するには「岩石」のおおよその区分とその成因を理解するのが最も応用が利いて,面白さが分かると思っています。

例えば,九州本土の鹿児島県では多くの「溶結凝灰岩」を見ることができます。見分けるのも比較的簡単にできます。この岩石は巨大な火砕流によって形成されることが分かっています(岩石の「堆積岩」項目参照)。つまり,「溶結凝灰岩」がそこにある=「巨大な火山噴火が起こった」ということを知ることができるわけです。

溶結凝灰岩の写真
Fig.1 溶結凝灰岩の例
 溶結凝灰岩の中には,横方向に平たくなった構造(中には黒曜石化しているものもある)が見られる。これを「ユータキシティック構造」と呼んでいます。平たくなったのは圧縮され,溶けた痕跡で,元は「軽石」です。この構造があると,溶結凝灰岩であることが分かります。この溶結凝灰岩は,南大隅町の神川にある神川大滝近くに見られる「阿多火砕流」によってできた溶結凝灰岩です。

このように,岩石一つ一つの「成因」を知ることで,大地の成り立ちの多くを知ることができ,地質学の醍醐味を味わいやすいと思います。