パリのメトロを御存じない方に紹介すると、車体支持と軌道案内は
ゴムタイヤとコンクリート走路からなっている。つまり、日本で云うところの
「新交通システム」のようなものである。しかし、コンクリート走路に隣接して
鉄製レールと、ゴムタイヤに内接する鉄車輪がついている。これは分岐など
案内路が設置しがたい箇所やタイヤがパンクした場合にのみ使用される。
鉄軌条の軌間は標準軌。
ゴムタイヤで加減速しているので、地下鉄のホームはゴムの焼ける臭いが
充満している。もっとも、パリの人間は、この臭いに郷愁を覚えるそうなので、
嬉しがるかも知れない。私は嫌いだけど。ゴムタイヤのおかげで
加速・減速はかなり大きい。日本並の加減速を予想してぼやぼやしていると
ふらつくほどだ。
動力はもちろん電気で、第3軌条から集電する。したがって、空中架線は
張られていない。本線は右側通行なのもパリのメトロと同じ。
路面電車を地下に移したという発想からである。
ただし、始発駅では渡り線が駅の両側にあるため、
運用によっては、一見、左側通行の方向へ出発することもある。
線路構造のためからか、両渡り線がなく、始発駅は駅の両端に
片渡りが1つずつとなっていて、終点方向の先まで引き上げ線があり、
列車がどちらから入線するかは予断を許さないところがある。
車両は、TGVと同じフランスの車両メーカーであるアルストームAlstomの
製造。17m級程度の車両が5〜6両編成で、数分間隔で運転されている。
市の中心部にしか路線がないせいもあるのか、慢性的に、かなり混雑している。
一部の最新型を除き、パリと同じく、貫通路は平常時はロックされていて
使用されない。
貫通幌も未設置なので、乗り込んだ車両から他の車両への走行中の移動は不可能だ。
座席が少ない車両に乗り合わせたら、少なくとも次の駅までは立ちんぼも
覚悟しなければならない。
運賃は、全線均一で、入場時に切符を入れると、その場で集札されて
しまう。これもパリと同じ。ただし、乗車開始時刻ごとに運賃が異なることには
要注意。改札口の上に、現在の適用運賃がランプで表示されている。私が乗車した
際は、早朝深夜、ラッシュ時、日中の3段階に分かれていた。さらに、回数券、
プリペイドカードがあるのでややこしい。私は1回券を毎回買っていたが、
回数券などを利用すると安くなるのかも。詳しくは、
「ちりつも」で
情報提供されています。
パリのメトロと異なるのは客用扉が自動開閉すること。つまり、日本と同じで
駅に着くと、車掌が客用扉を制御して、1編成のドアが一斉に開閉する。