サンチアゴにあるチリの鉄道博物館(写真いっぱい版)

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 公園の南門通りから見た鉄道博物館。生け垣が低いので、入園しなくても 良く見えるが、ここはケチらず入場しよう。入場口は、この写真の左手。 私は自然史博物館から歩いてきたので写真右手より近づいたが、 写真左手に公園南門がある。

 南米はチリ共和国の首都サンチアゴ市内には、屋外展示施設として鉄道博物館が あります。主に蒸気機関車が静態保存で展示されていますが、1676mm軌間という 広軌用の機関車は標準軌間のものよりも一層の迫力があります。 鉄道ファンならば数時間は楽しめます。
 場所は町の西よりのキンタノルマル公園にあり、南向きの正門を入ると左手に 入り口があります。カメラやビデオでの撮影は可能ですが、その際には、 入場料のほかに、撮影料(1997年現在で1000ペソ)が必要です。カメラを見せて 1000ペソ札を出せば(料金を改訂していたとしても)意味は通じるでしょう。 ちなみに窓口の人はスペイン語しか話せません。
 蒸気機関車は国鉄のものを中心に15両ほどが静態保存されています。 1676mm軌間の南部鉄道のものが中心ですが、1000mm軌間の北部鉄道の 物や、1000mm軌間ラックレール用アンデス越え線(現在は廃止)用の 関節式蒸気機関車も展示されています。

1. 狭軌用機関車



Z型蒸気機関車、3349号。形式と番号の関係は不明。1000mm軌間ラックレール用 機関車で、メイヤー式の関節式機関車です。超大型ではありませんが、 少なくとも戦後の日本では見られない類の機関車ですね。 博物館の説明板によると、1911年から1971年まで運用。 全長13.74m、重量89.00t。速度35km/h(粘着時)、10km/h(ラックレール使用時)。


R型蒸気機関車、3087号。軸配置は1D。 軌間1m線用の旅客用機関車で国鉄で使用されていた。 博物館の説明板によると、1901年米国Rogers社製。1969年に引退。 全長13.74m、重量58.8t。最高速度50km/h。 燃費は石炭が12.6kg/km、水が101リットル/km。


軸配置Cタンク蒸気機関車、205号。水タンクが背負式だ。 後ろには、なぜかボギー台車だけが展示されている。


軸配置2Cテンダ蒸気機関車、211号。日本の交通博物館のように、 台枠下に通路が作られており、構造がよくわかるようになっている。


旅客用蒸気機関車、306号。後ろの建屋に納められているのは大統領専用客車。

2. 広軌用機関車

 3feet6inch=1067mm狭軌に見慣れた日本人にとって、 この博物館での見物は、やはり、広軌用の蒸気機関車でしょう。 サンチャゴから南へアンデス山脈と海岸山脈に挟まれた肥沃な盆地が チリの農業中心ですから、鉄道も最初はこの地区で発達したようです。
 大きなものではメカニカルストーカー付きの5動軸機が あり、大型蒸気の迫力やメカニカルストーカーの構造がよくわかります。 説明看板によると内1両はなんと三菱製だそうです。

蒸気機関車、407号。写真ではわかりにくいが主連棒が見えない。 動輪の内側にピストンと主連棒備えた珍しい機関車。 ドイツ製。でも、保守点検が大変そう。


軸配置1D蒸気機関車、439号。日本国鉄型で、この軸配置は9600型。


軸配置1Cテンダ57型蒸気機関車631号。 博物館の説明板によると、1908年North British Locomotive社(北英汽車会社)製。1984年に引退。 全長15m、重量84.21t。最高速度60km/h。 燃費は石炭が19.3kg/km、水が154.4リットル/km。どんな列車にも使用した万能機だそうで、日本国鉄制式蒸機だと、さしずめC58といったところか。 後ろに2両の客車と1両の貨車を従えて、編成で展示されている。


軸配置2D1テンダ蒸気機関車、648号。この軸配置は日本国鉄型だとD52だ。


テンダ80型蒸気機関車846号。 博物館の説明板によると、重量高速旅客列車用で、場合によっては貨物にも使用したそうだ。1952年三菱製。この型はボールドウィンBaldwinが1929年から1947年まで製造したのが原型機だが、最終増備の30両は1952年三菱製である。 重量163t。最高速度105km/hだから高速機といえる。 燃費は石炭が22kg/km、水が178リットル/km。 同型で特殊用途のための851号が現役で、さらに10数両が現役とあったが、看板設置時にはともかく、既に引退していると思うべきだろう。


軸配置2D2の100型蒸気機関車1009号。 1969年、ドイツHenschel社製。 1676mm軌間の機関車で国鉄南部幹線のアルメダAlameda-タルカTalca間の貨物及び急行列車に使用されていた。 自動給炭機装備。 全長15.91m、重量205.60t。最高速度110km/h。 燃費は石炭が34kg/km、水が274リットル/km。 この巨大さで、スポーク動輪であるのは、同じドイツ製のDB01などを彷彿させる。


蒸気機関車1009号の炭水車側。巨大な水槽であることがよくわかる。 展示機のうち、除煙板が装備されていたのは、この1両のみ。


軸配置1E1のチリ国鉄最大の110型蒸気機関車1110号。 博物館の説明板によると、1940年米国汽車会社ALCO(American Locomotive Co.)製。1966年に引退。 全長25.70m、重量220t。最高速度90km/h。 燃費は石炭が34kg/km、水が302リットル/km。 1676mm軌間の機関車で国鉄南部幹線で使用されていた。 自動給炭機装備。これだけ広い火床だと、人間の腕力では給炭が追い付かないため 装備されたと説明板にある。 1009号機同様、スポーク動輪である。


蒸気機関車、1110号の炭水車側。 1009号とは水槽の丸みが上下逆なのが面白い。


2Cテンダ蒸気機関車18号と1Dタンク機3046号。

 説明文はほとんどがスペイン語と英語でされていますが、細かいところまで 読まなくても鉄道ファンならば大体わかるでしょう(一部はスペイン語のみ)。


3. 客車・編成

 客車も数両展示されており、うち1両は自由に内部が見学できます。

編成で展示されていたもう1つの列車。1Cテンダ機631号に、客車2両、さらに 有蓋車(緩急車?)1両の4両編成。実際に、このような混合列車が 編成されていたかは疑わしい。


上の編成の客車の車内。二重屋根で、クロスシート1組当たり 窓が2つある。シートや飾り窓、内装から考えて、昔の1等車らしい。 時間帯によっては、もう1両で映画を上映していたようだ。


同じく、1等客車の車内。飾り窓がステンドグラスになっているのが 良くわかる。私とあおみ

4.展示館管内

 敷地内には駅舎を模した建物が1つあり、中に模型や記念物が展示されて います。ただし、1部屋しかないので大したものではありません。 1997年2月の時点では、ここでNゲージのレイアウトを製作していました。 そこで運転していた列車は、なんと米国大陸横断鉄道のディーゼル機が 引く日本型旧式客車の編成!関水+KATOブランドが地球の裏側で見られるなんて。 珍妙な編成は試運転だからでしょうか?

 製作途上のNゲージレイアウトをテスト走行する日本製鉄道模型列車。 先頭は米国で使用されたF6型ディーゼル機関車。続くはオハ31、オロ30という 珍編成。試験走行中だからなのか、気にしていないのか。(^_^)

 建物内部には見学者記帳用のノートがありましたので、私も記帳してきました。 英語で書きましたが、日本語で書いてもいいかもね。ちなみに、スペイン語では 日本はJaponと書き「ハポン」と発音します。大型蒸気のほか現役のmetrotrenも 日本製のためか、鉄道関係者は日本人と聞くと、とっても親切にしてくれ、 スペイン語でなんとか意思を通じさせようとしてくれる人が多かったです。