半田利弘のSF感想:宇宙船レッド・ドワーフ号

NHK-TVで放送していたBBC制作のコメディー。 随所に英国ギャクが散りばめられているSFコメディーの秀作。

元来、レッドドワーフとは天文学用語で赤色矮星のこと。 質量が小さく、温度も高度も低いが、寿命が長い星であり、 銀河の中に多数存在すると考えられている。

ここで登場するのは、巨大宇宙船である。 全体が赤い塗色なので「レッド」というつもりかも。 何の説明もないが、形態からバッサード・ラム宇宙船であると 考えられる。23世紀の地球の宇宙船。300万年以上の耐久性能がある。

2001年8月にはなんと教育TVで再放送が開始。 第4シリーズまで放送している。 第5シリーズ以降も2001年10月に再放送予定だったが延期されたらしい。

NHK作成の紹介ページへ


タイトル一覧

第1シリーズ

邦題英題日本初放映日
1それは終わりから始まったThe End1998/10/3
2未来は突然やってきたFuture Echoes1998/10/10
3昇進は宇宙のいのちBalance of Power1998/10/17
4神様はオレ様?Waiting for God1998/10/24
5本当の自分はどっちだConfidence and Paranoia1998/10/31
62人リマーで大混乱Me21998/11/7
第1話で状況説明があるので、これを見逃すと設定が分からなくなる。 見逃した人用の解説は
文末を見よ。

ここでは、リスター、リマー、キャット、ホリーがメインキャラクター。

キリスト教原理主義に対する厭味が内容かと思わせる話がある(第4話)。 これは、同じBBCが30年以上も前に制作した傑作バラエティ・コメディー 「空飛ぶモンティーパイソン」に通じるところがある。

第2シリーズ

7はじめまして、哀愁のアンドロイドKryten1998/11/14
8プレゼントは悪夢のゲームBetter than life1998/11/21
9他人の恋に酔いしれてThanks for the Memory1998/11/28
10過去と未来がコンニチハStasis Leak1998/12/5
11お払い箱?ホリー最大のピンチQueeg1999/1/9
12となりの宇宙は女性天国Parallel Universe1999/1/16

ここでは、リスター、リマー、キャット、ホリーがメインキャラクター。 ゲストでクライテンが登場する。

第3シリーズ

邦題英題日本初放映日
13世界は逆に回っているBackwards1999/1/23
14雪の惑星に落ちた友情Marooned1999/1/30
15進入!変身エイリアンPolymorph1999/2/6
16他人の体で暴飲暴食Body Swap1999/2/13
17過去を変えれば大富豪Timeslides1999/2/20
18クライテン最後の晩餐The Last Day1999/2/27

レギュラーに、クライテンが加わる。

ホリーは役者が交替。設定上では、第12話で並行宇宙にいることに なっているホリーの対応キャラクター、ヒリーの姿に表示を変更した ということになっている。おそらく役者の問題であろう。

特殊メイクなので気づかなかったが、NHKのウェブページによると、 第3シリーズ以降のクライテンは第2シリーズにゲスト登場した クライテンとは別の役者が演じている。

テーマが深刻なものが増えて来る。過去のSFへのオマージュも増える。 第15話はDarkStarのパロディか?

第4シリーズ

19不思議な恋のカサブランカCamille1999/3/6
20夢のDNA変身D.N.A.1999/3/13
21リマーの罪と罰Justice1999/3/20
22一発逆転!ホールをねらえWhite Hole1999/3/27
23異次元から来た男Dimension Jump1999/4/3
24史上最大の偉人作戦Meltdown1999/4/10

第3シリーズの続きだが、テーマが深刻なものがさらに増える。 過去のSFへのオマージュも増える。 第18話は「ターミネーター」っぽい演出。 第20話はシルバーバーグの短篇「虎よ」(創元社「地球人よ警戒せよ」に収録)を 思い起こさせる内容。 第24話はスタートレックでも出てきそうなテーマ。 クライテンの設定として、スタートレックのデータ少佐へのオマージュ的描写が 増える。データが憧れる「人間的」というのが「人間に内在する善」なのに 対し、クライテンが教わる「人間的」というのが「人間に内在する悪」である ところが、教科書的な教えをシニカルに見る英国流コメディーをうかがわせる。


登場人物紹介

レギュラー

人物名簡単な紹介人格設定
リスター 3等技術士。停滞場に閉じ込められて300万年後に再生される。 ぐうたらでお下劣。のはずだったのだが、第3シリーズ辺りからは 比較的まともに見えてくる。
リマー 2等技術士。事故で死亡。リスターが再生された際に、 彼が孤独で狂ってしまわないようにホリーがホログラムとして再生した。 臆病もので、部下いじめで、上司にみえすいたお世辞を使う、 自信喪失の人物。仕事熱心だが、うまくこなせない。 こう書くと他人とは思えない(^_^);
ホリー レッドドワーフのメインコンピュータ人格 IQ6000を自慢する。結構、厭味をいう。
キャット 猫人間。 リスターのペットの猫が、300万年の間に無人の宇宙船内で 進化した。 自信の塊。ただし、服装やスタイルにしか興味がない。
クライテン サービスロボット。第7話で登場し、宇宙船外へ 出て行ったはずなのだが、何の説明もなく第3シリーズからレギュラーに。 嘘がつけない。 人間へのサービスが生きがい。

時々、繰り返し登場する人物

人物名簡単な紹介
ホリスター レッドドワーフの船長。
コチャンスキー リスター憧れの女性乗組員。