風の詩より   〜梅雨〜




結婚ゆび輪はいらないといった

朝、顔を洗うとき

私の顔を きずつけないように

体を持ち上げるとき

私が痛くないように

結婚ゆび輪はいらないといった



今、レースのカーテンをつきぬけてくる

朝陽の中で

私の許(もと)に来たあなたが

洗面器から冷たい水をすくっている

その十本の指先から

金よりも 銀よりも

美しい雫が 落ちている







私は星野富弘さんの詩画がほんとうに大好きです。
この雑誌に毎月連載されているので必ず
スケッチブックに貼っています。
ささやかな私だけの詩画集が出来てゆきます。

星野さんの奥様はこの紫陽花の季節に彼の許へ
嫁いで行かれたのですね。
なんて、なんて、すがすがしい詩なのでしょう!







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