ありがとう




我が家にある一本の大きなケヤキの木

春はごうごうと音をたてて若葉の芽吹きを

夏は涼やかな木陰を

秋にはたわわな実りを

そして冬にはわが身を燃やしてまでも

凍える私たちにやわらかなあたたかさを

おしみなく与えてくれる

自然からこんなに限りない恩恵を受けているというのに

私たち人間は一体何をあなたに返しているの?

人間も自然の一部だと言うのなら

せめてこの言葉を今、あなたに

ありがとう


するとどこからか木霊のようにかえって来る

ありがとう

また春は巡る





落ち葉を燃やしていたら炎の中から突然
「ありがとう」って
 聞こえた気がして。ふいにこの詩が生まれました。





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