お仕事のはなし
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  血液透析、ご存知ですか。
世間では 体の中の血を抜いて、まったく新しい血を入れる。なんて思っている方は・・・実は昔に結構いらっし
ゃったんですよね。最近はそんなことを言われる方はさすがに会わないけれど。実際のところ一方の針から導
き出した血液を人工腎臓という特殊器材を通過させ、もう一方の針から血液を返す治療をいいます。簡略化し
て書きましたが、その針だの、器材だのがひとつひとつ役割が複雑で 関係する周辺とつながりが広がってい
ます。 仕事柄、多くの方に指導して来ましたが、このページで(血液透析)について振り返り、まとめができれ
ばと考えています。
シングルニードル療法  今回はシングルニードル療法についてお話します。 名称のごとく単針(一本の針)で透
析治療を行う方法です。20〜30年位前までは、同軸2層(今で言うWルーメンカテーテルのようなもの)の穿刺
針をシャントに刺して治療しているケースもありました。しかしながら、構造上どうしても針が太くなり、痛みや止
血の問題などが起こります。そこで、もうひとつの方法として針は単なるY字管で、血液の流入出を交互に行う
機械依存のしくみが主流になってきました。つまり、血液を引き出す時は返し側を止めて、血液を返す時は引き
出し側を止める。といった方法です。
この方法にも、2通りあって、血液ポンプを回し続けながら交互のクランプ切り替えで行う方法と血液ポンプが
作動・停止を繰り返し、同時にクランプも切り替わる方法(どちらも回路内圧を切り替えの指標とする。)が有り
ます。 いずれにしても、当然効率が低下するために透析効率のアップが必要になってきます。(時間や回数や
膜面積など)  更に必ず約束事として、穿刺方向を良く理解することです。少しでも効率アップをめざすなら
ば、返血時の血液の流れがシャント流に逆らわない(同方向である)ことである。  その他、圧の設定や切り替
え時間、圧幅や除水速度限界などが微妙に関係してきます。細心の注意が必要です。
ニードルレス回路  血液回路は各メーカーや、施設により様々なタイプがあります。細部についてはいろいろな
違いがありますが、基本的目的は同じです。体外循環量を抑えること。使い勝手が良く、毒性を極力抑えている
こと。操作性が良く、流れの効率が良い。(気泡の発生を抑え、凝血をしにくいなど。)また、各パーツの場所や
役割が的確で有る事。更に私としては、血液サイドの余計なオープン個所が無く、トラブル対処がしやすく、緊
急離脱が可能であれば100パーセント満足です。最近は薬剤注入ボタン(側管・T管)がニードルレスボタン(シ
リンジのまま対応)へ代わりつつあります。これは針刺し事故防止(感染防止)のために開発されたのですが、
まだまだ主流となるには時間がかかりそうです。実際、使用してみると大きな問題はありません。慣れです。注
意しなければいけないのは、ニードルレスボタンについ、針を刺してしまうと血液のリークが発生すること。ま
た、持続の輸液や輸血を行う場合は専用のアダプターを用いること。等です。
ドライウェイト  今回は息抜きを兼ねてドライウェイトの話をしましょう。簡単に言って、体調に支障をきたさない
理想体重とでもいいますか。この体重に固定観念を持ってしまうとやっかいです。自分の体重は小さなサイクル
で変化していることを自覚しましょう。例えば、秋になると食欲が増して実体重が上がったり、夏になると、夏バ
テで実体重が下がったりします。また、風邪をひいて食欲がおちた。運動をして筋肉がついた。などなど様々な
パターンが考えられます。しかしその変化に対して何らかのサインが発生します。そのサインを見逃すと体調に
支障をきたすわけです。サインの種類として、血圧・心胸郭比・ヘマトなどの変化や、こむら返り・呼吸苦などの
症状。そして割と目安になる、顔貌の変化(はれぼったいとか、こけている)などです。それらを総合して判断す
るのですが、多くの方は体重を落とすほうには気が進まないようです。そのためにも毎日の生活リズムを崩さな
い事が大事です。どうしても痩せてしまったら、良く食べて実体重を上げるのもひとつの方法です。(といって水
分を増やしても意味がありません。身になるような食事に心がけましょう。)
くすり  一般に制酸剤と呼ばれる薬が、20年ほど前は主流のリン吸着剤でした。アルミゲル(アルミニウム・ゲ
ル錠)という薬です。健常者が服用するのには問題は無いのですが、透析を受けている方には大きな問題があ
ります。アルミニウムは透析されずに蓄積していきます。このアルミニウムは透析脳症やアルミニウム骨症とい
った病状を引き起こします。いまでは、この薬は殆ど使用することは無くなりました。しかし、医療機関内での出
来事であり、怖いのはそれ以外の落とし穴に注意しなければ行けないということ。一番多い落とし穴として、胃
薬があります。大抵の胃薬にはアルミニウムの成分が入っているはずです。注意書きにも「透析治療を受けて
いる方は服用出来ません」と書いてあるのがほとんどです。透析治療を受けていられる方は一層の注意が必要
です。薬は万能ではありません。また、薬の複数併用も効果の増強・減弱を引き起こす場合もあります。ご自身
で、自分のくすりは興味を持って、知識と共に服用するようにしましょう。
フールプルーフ  透析においては大事な考えで、これが実行できないと、インシデント・アクシデントに簡単に移
行してしまいます。直訳すると、「バカ防止」ですが、つまりはスタッフの能力の差があるなかで、最低限の規則・
規律・マニュアルを作成する方法です。しかし、ポイントは作成の前提で、「誰が実行しても、事故や過誤につな
がらないこと」を第1に考えるということ!(合理的・能率的・簡便などは二の次)
透析は、毎回の治療で事故につながる原因は多々あります。毎回「無事に終わった。」ではなく、毎回「無事に
終わらせた。」なのです。無事=準備・点検・情報収集はもちろんのこと、対策や危険回避予想が出来るという
こと。しかしながら、安全な日々を維持するのは困難で、たいていの場合スタッフおよび患者さんは「命」よりも
「気持ち良さ」を第1に希望します。ここに落とし穴が隠れているわけです。安心や安全が当たり前になってくる
と、欲望が主張を始める。そして、スタッフや患者さんの欲望を優先して、気づいたときは危険が網を張り巡らし
ている状態になる。医療の場において、「安全」が先行するのは当たり前である。フールプルーフ・危険回避・危
険予防(感染、プライバシー保護など)を充分に駆使して、なにも無い日々を実感しましょう。

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