はじめに・ごみを資源にまちづくり: 肥料・エネルギー・雇用を生む 単行本・

・はじめに


・福岡県大木町の施設「くるるん」は、稼働して10年過ぎましたが、いまだに毎年3500人以上の視察者が訪れます。

・「くるるん」は生ごみやし尿。浄化槽汚泥の処理施設ですが、横には公園があり、子どもたちが遊んでいます。となりのレストランでは市民が地産地消の献立を楽しんでいます。ごみを減らしただけでなく、地域の農業振興に役立ち、しかも市民の喜ぶ施設です。

・ごみ処理も生活排水処理も大事な仕事です。しかし、これら処理施設は市民の嫌がる迷惑施 設として、たいていは町はずれに建設されています。市民の訪問はほとんどありません。建設費や処理費用も市町の大きな負担になっています。

・このような負の側面ばかりであった処理と、市民のための施設、生ごみから肥料をつくる施設、メタンガスで発電する施設としたのが大木町「くるるん」です。

・大木町のとなりのみやま市でも、同様の循環施設の建設がはじまっています。2018年に稼働予定です。

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2004年に日本は人口減少時代に転換しました。いまは急激に人口が減る時代です。生産年齢人口(1564)が減る一方で、高齢者は増えています。

・日本の経済は縮小に向かっています。経済成長率はゼロからマイナスへ転じています。

・日本は転機です。社会のあり方が変わったのに、人口増加、経済成長の時代と同じ発想、同じ仕事の仕方でやってきたため、あちこちで行き詰まっています。

・この本では、市民が「燃やすごみ」から「生ごみ」「燃料資源」を分別するだけで、焼却炉を廃止して、循環のまちづくりの基礎をつくることができる、と提案しました。同時に、地域に仕事をつくりだす循環のまちづくりについても提案しました。こみを資源にすることでできるまちづくりです。

・ごみに限らず、人口減少、高齢化、経済縮小の時代における地域のあり方を、各地で検討するための具体的な素材として読んでいただきたいと思います。

・なお本文中では「市区町村」を「市町」あるいは「市」、「都道府県」を「県」と略記しています。

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・ごみ処理はいまどうなっているか ――現状と可能性

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 目次

はじめに


ごみ処理はいまどうなっているか――現状と可能性

[1]大木町の循環事業 10頁・

循環事業でまちづくり、仕事づくり 10

・持続可能な開発目標・14

[22] 生ごみを分別すれば残りは燃料資源・17

・ごみ処理の現状・17

・生ごみを燃やすのはまちがい・19

RDFから燃料資源・20

[13]「捨てる」から「処理して捨てる」になっただけ・26

・公衆衛生対策としてのごみ処理・26

・リービヒの下水道批判・272023/12/19 8:32

・Π・「下水道」から「浄化槽+し尿処理施設」に・28


[4]過剰な処理施設・33

・循環を妨げるもの・33

・減少するごみ・34


・生ごみ資源化の取り組み・35

・使われていない処理施設・35

[05] 焼却施設の削減から廃止へ・38

・焼却施設の適正規模・38

[カコミ]0.6乘比例に係る経験則」の計算方法・40

・生ごみ資源化でごみはすべて資源に・42

[06]下水道から循環施設へ・45

・高額な下水道・45

・財政を圧迫する下水道・48

・「下水道はいらない」という選択・49

(合併浄化槽+環施設」への転換・52

・「二重投資」から「先行投資」へ・58

[07] 20世紀モデルへ逆行するMICS事業・61

・向かうべきは循環利用・61

・武蔵野市の取り組み・64

・廃棄物会計・65

・長期計画の欠如は・67

・時代に逆行するMICS事業・69

・「循環のまちづくり」のすすめかた・

[08] 循環事業の3つのモデル・71

・人口規模による3つのモデル・74

・モデル! 県庁所在地、政令指定都市などの大都市・75

・モデルⅡ 5万人以下の市・79

・モデル15万人規模の市・82

[09]「つながり」事業】液肥を組織的に利用する・89

・農家、市民との「つながり」支援事業・89

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・液肥の利用から農業振興へ・90

・液肥の普及状況・92

・液肥散布の年間計画作成・97

・液肥散布の仕組みづくり・100

[10]「つながり」事業Ⅱ伝え続ける仕組み・102

・「つながり」支援事業・市民・102

・市民指導員の育成・103

・伝え続ける仕組み・小学校の授業・105


[11] 地域循環仕様のメタンプラント・111

・循環に適したメタンプラントとは・111

・改善に向けた追加項目・111

[12]格量自立する地域経済のために・117

・まちづくりへの思い・117

・縮小する日本・121

・コンビニという過酷な仕事・123

・富裕層がつくった貧困・126

・地域内乗数効果・129

・みやまスマートエネルギー株式会社・131

・理念を事業にする・132

・循環のまちづくり研究所・134

・おわりに・134

・文献一覧・140

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–国連のSDGs(持続可能な開発目標)達成モデルと称賛される福岡県大木町、みやま市での経験をもとに、焼却炉も下水道も不要、人口減少・高齢化・経済縮小時代にマッチしたエコで安上がりな「循環のまちづくり」を大胆に提案する。

著者について

1957年佐賀県生まれ。大阪大学工学部環境工学科卒業。九州大学大学院農学研究科にて博士(農学)。京都精華大学講師を経て、長崎大学環境科学部准教授。著書『なぜ経済学は自然を無限ととらえたか』(日本経済評論社)『実践食育プログラム』(家の光協会)『農家のための産直読本』『成功する「生ごみ堆肥化」』(いずれも農文協)ほか。

著者略歴 (BOOK著者紹介情報」より)

中村/

1957年佐賀県唐津市生まれ。大阪大学工学部環境工学科卒、九州大学大学院農学研究科修了。農学博士。長崎大学環境科学部准教授などを経て、20179月より、一般社団法人循環のまちづくり研究所研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

出版社 : 農山漁村文化協会 (2017/8/25)

発売日 : 2017/8/25

言語 : 日本語

単行本 : 141ページ


20171010日に日本でレビュー済み

ごみやし尿の処理の在り方を通して、「人口増加」「経済発展」から「人口減少」「経済縮小」の時代に移り変わっている中に自分が生きているのだということを感じられる内容でした。

循環事業を進めるための大まかな手順等も記載されているので、今までと同じごみ処理、し尿処理から方向転換すべき時が来ていると考える方にとって、取り組みを始めるための一つのマニュアル・指標になるのではと思います。

          はしぽん

5つ星のうち5.0 まちづくりの担当者だけでなく、働く意味を考える大学生にお勧め

2017828日に日本でレビュー済み


福岡県の大木町で、ごみとし尿と農業を本当につなげて循環させる仕組みを作り上げた記録です。とても面白い本でした。この手のまちづくり本は数多く出版されていますが、たいていは事例の寄せ集め集に過ぎず、実際に関わっていないものが多いのですが、本書は20年もかかわった成果です。実際に同様のプロジェクトを立ち上げようとしている方々にはとても参考二なると思います。

大木町での経過も面白いのですが、12章終章の自立する地域経済のためにがとても面白かったです。筆者の中村氏の熱い思いが伝わってきます。これから何のために働こうかと考えている大学生に是非お勧めです。

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