10. 弥勒院

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伝弥勒院の狛犬
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飛青磁
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タイ黒褐釉壺

 弥勒院は、大隅正八幡宮の別当寺。初め鷲峰山霊鷲山寺と称し、僧性空(960年代の人物)の開基といわ れる。かっては弥勒寺と号していた。本尊は釈迦如来・不動明王。中世後期から一時衰退していたが、 享保8(1723)年に上野寛永寺末弥勒院として再興され、近世には天台宗となっている。寺高300石。明治 初年の廃仏毀釈により消滅し、跡地には宮内小学校が建てられた。

 この弥勒院跡は、校門の改修、校舎の増築、校庭整備などの工事に先立って、これまで5回に亘って 発掘調査された。その時に、池の跡・溝・柱の穴などが見つかっている。また、素焼きの小皿(土師器) を焼いた穴も見つかっている。出土品としては、多量の中国製青磁・白磁・陶器・青花、東南アジアの タイ産の壷、ベトナム産陶器や全国的にもめずらしい中国元代の飛青磁、多量の土師器などが発見され た。また、国内産中世陶器、江戸時代の佐賀県の肥前系陶磁器、地元サツマ焼きの在地系陶磁器なども たくさん見つかっている。他には碁石・瓦・古銭等がある。出てきた中国産の越州窯系青磁、やや多い 国内産の須恵器などからみて、10世紀頃には建てられていた可能性もある。多量の土師器は「蒙古撃退 の祈祷会」の実施を窺わせる。


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