花火屋とは
どんな人間なのだろうか。当然のことであるが、まず色や光に対する感覚が鋭くなくてはならない。花火家は色度計がどんなものかは知らなくとも、彼らの眼はどんな色度計よりもはるかに正確に色を見きわめる。光の色と輝きを見ると、それがどんな薬品の配合でできるか、ただちに読み取ることができるのである。色度計は色を数字で表すが、花火家はそれを配合で表すように訓練されている。それはきわめて直接的な点で東洋医学や漢方医学になんとなく似たところがある。誠に簡単で合理的である。その光が読めないとき、それは花火家自身にとってまったく新しい配合の出現なのである。あらゆる光がこのようにして読めるか読めないか、ここが花火家としての能力を左右する点で、光が読めること、これが花火家としての第一要件である
著者 清水 武夫
花火の話より
どんな人間なのだろうか。当然のことであるが、まず色や光に対する感覚が鋭くなくてはならない。花火家は色度計がどんなものかは知らなくとも、彼らの眼はどんな色度計よりもはるかに正確に色を見きわめる。光の色と輝きを見ると、それがどんな薬品の配合でできるか、ただちに読み取ることができるのである。色度計は色を数字で表すが、花火家はそれを配合で表すように訓練されている。それはきわめて直接的な点で東洋医学や漢方医学になんとなく似たところがある。誠に簡単で合理的である。その光が読めないとき、それは花火家自身にとってまったく新しい配合の出現なのである。あらゆる光がこのようにして読めるか読めないか、ここが花火家としての能力を左右する点で、光が読めること、これが花火家としての第一要件である
著者 清水 武夫
花火の話より