モリヤスオ過去の活動から

ニュージーランド行政視察報告書

日程 2003年11月11日から11月18日 8日間

報 告 者 : 盛 泰 夫

1.農業

夕一ナーズグロワーズ(業者向け野菜卸売市場)視察

ターナーズグロワーズにて

野菜

タマネギとカボチャは、生鮮野菜の主要輸出品目である。 タマネギは輸出品目の第1位を堅持し2001年度は世界的なタマネギの供給量は減ったが、日本向けの輸出が3万4356tに増えた。

カボチャは、農産輸出の第4位を占めている。

カボチャの総生産の約半分は日本向けに輸出されている。

ピーマンは輸出品目の第3位を占め、日本向けに温室で栽培されている。

果実

リンゴとキーウィフルーツが主な輸出品目であり、キーウィフルーツは新品種「ゴールドキーウィ」で2000年から積極的に日本で試験販売を行っている。

リンゴは輸出第1位だが日本向けは少ない。

MRロビン・マーゴック氏農場視察

花卉

傾斜を利用し、夏と冬の約5度の温度差を利用して丘と平地の両方活用し1920年代から花卉栽培をしている。

日本向けに有望な商品としてラヌキラス(オレンジ)が一番人気があり、一週間に50箱から60箱送っている。

特にオノソーグラムは3週間くらい日持ちがするという事でほとんど日本向けに輸出している。

オリエンタルリリーは中国の旧正月に合わせてホンコン経由で出荷している。

野菜、果物に感しては組合があり、輸出入の規制が厳しいが花卉類に関しては比較的自由に取引できる、しかし国からの補助はなく経費はすべて個人負担である。

スコット農場視察

畜産

180ヘクタールの牧場であり1896年祖父の代から牧場経営を行なっている。

現在保有頭数は下記のとおり

スコット農場風景

雄牛6頭若い羊300頭
雌牛184頭1歳の若い羊75頭
種牛6頭子羊260頭
1歳の雄牛104頭  
2歳の雄牛5頭  
若い雌牛62頭  
子牛145頭  

毎年450頭の養育した羊に加え不必要になった子羊及び刈り取った羊毛を売って生活をしている。

ここ4年間当牧場で1年に1度雄牛販売オークションを開いている。

コストもかかるが雄牛は市場に相関した価格で売られ6月中旬まで牧畜を休むことも可能になる。

牛肉及びラム肉の80%以上は輸出されている。

日本の牛肉市場が自由化されて以来畜産業界は全力を上げて対日輸出に積極的に取り組んでいる。

日本との合併事業も行われ日本の消費者の二一ズに合った牛肉の生産も可能になっている。

過去に口蹄疫やBSEが1度も発生していない。

2001年度対日輸出額は261億5400NZドルである。

2.政策

不動産管理

ライトソン・ケンブリッジ企業視察

ニュージーランドの農業に関しては国からの補助はない、国内で70の支店を持ち不動産、農機販売、営農、農家の海外への輸出入の手伝いをしている。日本のJAとにているが、不動産、輸出入に関する業務に違いがある。

農場の売買価格は面積ではなく地力を含め経済的な生産性で決まる。

ニュージーランドでは不動産購入の際、取得税や印紙税などの税金は不要。売却の時にも不動産業者を仲介として買主と直接契約を取り交わす、したがっていつでも処分できる。

閑静な住宅街。住居前の歩道の芝が美しく刈りそろえられ、手入れが行き届いている様子が伺える。

2500万の物件で年間12万円程度の固定資産税が必要である。

不動産の管理には庭、自宅前の歩道の芝の管理も含まれる。管理をしないと隣人からクレームがつく。

クライストチャーチが「庭園の街」ガーデンシティーと呼ばれるゆえんである。

福祉

NZの杜会保障制度は基本的に受益者負担はない、すべて税収入で補われている。

非納税者であっても資格要件さえ満たしていれば保障が受けられる。

しかしこれまで国が全額負担していた医療、教育、年金などの福祉制度に一部受益者負担の制度が導入されている。

老齢年金については、それまで60歳だった年金支給開始年齢を2001年4月1日から65歳以上に引き上げている。

消費税は内税で12.5%でチップの習慣はない。所得税は2001年4月より年収6万NZドル以上は39%、法人税は33%となっている。

行革

1984年から行われたNZの行政改革は改革のスピードと徹底さから注目されてきた。日本からも橋本、森、小泉内閣の閣僚が視察におとずれている。

鉄道は12年前に国有から民営化され赤字路線は廃止され現在オークランドからウエリントンまでの一路線のみである。

中央省庁の再編が行われ郵政省は廃止され郵便局は1998年に民営化している。先に通信産業の規制緩和、特に現在のテレコムが公杜化され、郵貯の民営化そして郵便業務の順に民営化されている。

街角のポスト

国家公務員は8万9000人から2001年に3万人へと13に大幅に削減されたために小さな町では、本屋やマーケットにて兼用で運営している。

少ない人員で時間的に効率的な運営をする為にポスト(郵便受)は家の前の道路わきに設置してある。

配達員は旗を目印に配達、集荷を同時に行っている。

現在国内の料金は45セントから40セントに値下げ、海外はハガキが1.5ドル、封書関係が2.0ドルの料金で運営している。

観光

港の風景

観光産業はNZ最大の輸出産業である。2001年195万人で「世界で最も安全な国」のイメージが浸透しており、米国のテロ後も5%伸びている。

日本人旅行者は2000年度約16万人であり、1999年に開かれたアメリカズカップなどの国際的イベントも追い風となり伸びている。

観光地写真

レストラン、土産品店、ワイン工場をはじめ商工業、畜産、海(ヨット)福祉(リタイヤ高齢者の農家民泊の経営)等すべての産業が連携を密にして国策としての一つの観光産業が形成されている。

エコツーリズムやワーキングホリデー制度も1985年から確立されておりホームシティー等で語学研修や環境学習におとずれる日本からの中、高生も2000年度約7000人にのぼっている。

地域循環型経済の確立、ここに本町の白立活性化に向けたヒントがあるように思われる。

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