カバ彦パパの報道連絡簿
| 4月19日(火)〜23日(土) 4月19日(火) 火事発生の一報が入ったのは、夕方ニュースも終わりの頃。 そのとき、飼い主とMっちとSピーの三人は県警記者クラブでニュースを見ていた。 「僕が行きましょうか?」とMっちが言ってきたが、「いいよ。俺が早番だし、まだ早番メインの時間だもん」と返す。 いつもは水曜日の部会が、今週は火曜日の今日、行うことになっていた。 本音を言うなら、部長の長演説を聞いているぐらいなら、現場で駆け回っていた方がよっぽどいい、ということ。 Mっち「じゃあお願いします。でも、Tさんが行くとデカいネタになっちゃうんだよなあ」 Mっちの軽口は、図らずも現実のモノとなった。 現場は市の郊外。 飼い主が到着したのは、覚知からおよそ30分後だった。 通常ならほぼ消火活動は完了して、せいぜい煙ぐらいしか残っていない時間帯のはずだった。 しかし、現場について腰を抜かしかけた。 火は激しく家を覆い尽くしている。まったく消えていない。 それどころか、放水すらされていないではないか! 「水が足りない!」という消防士の叫び声が聞こえてくる。 しょっちゅう現場に足を運んでいる記者であっても、数年に一度、出くわすかどうかの“燃え盛る”火事現場。 なんてこった、と一瞬呆然とし、それから立ちレポや撮影、近所の住民へのインタビューと現場を走り回った。 「死者はなし。けが人もなし」 取材の過程で得たその情報が、唯一の慰めだった。 火が消えたところで、消防司令へのインタビューを全社で申し入れた。 もちろん、なぜ水が足りなくなったのかを聞くため。 出てきた司令に、他社の記者が尋ねた。 「発生から1時間以上も消火作業が終わらず、住民からは『遅すぎる』と非難が出ているようですが、それについていかがお考えですか?」 思わず、その記者の後頭部に蹴りを入れたくなった。 この大馬鹿野郎。なに“住民の代表”を気取った質問を長々とやってやがんだ。 そんな聞き方で、相手がちゃんと答えてくれるわけないだろうが。 案の定、消防司令は表情を硬くして、「精一杯の作業は行いました」と言って、「それではまだ仕事が残っているので」と立ち去ろうとした。 ここでいなくなってしまったら、次にインタビューできるかどうかわからない。 というか、もうインタビューなど応じてくれないだろう。 慌てて司令を引きとめ、「途中で水が不足したようですが、何かあったんですか?」となるべく柔らかい口調で尋ねた。 すると司令は、憮然とした表情を少しだけ緩めて、「防火水槽が現場から遠かったので、若干水が不足しました。しかし、ホースを連結することによって対処しました」と答えてくれた。 OK、ありがとうございます。 現場の司令から、「水が不足した」という言質を得た。 今夜の夜ニュースはまだしも、明日のニュースで使えるコメントだ。 わかったか、○○○の馬鹿記者。 短く、かつ相手が答えやすくなるような質問。 インタビューってのはこうやるんだよ。 4月20日(水) 昨夜の火事現場で、なぜ水が足りなくなったのか。 デスクに申し出て、その検証企画を行うことにした。 というか、今日は休みだったんだけどな。まあ仕方がない。 現場で水がなくなったのは、事実。 この水不足が、過失や怠慢によるものなら、当然非難が伴う。 しかし、“消防の失態”と思い込んで取材すると、記者は袋小路にはまるか、あるいは痛い目に遭う。 なぜ、水は足りなくなったのか。 問題点は何なのか。 そして、その問題点を解消するにはどうしたらいいのか。 ただ「消防の失態」を叫ぶだけの企画にするつもりはない。 マスコミの世界には、他者を批判することが自分たちの特権であるかのように思っている連中が多い。 ちなみに、そういう連中の「批判」は、たいてい「誹謗」の類となる。 でも、自分がやる時は、“できる限り”建設的なものに仕上げたい、と思う。 今回の企画の目的は、可能な限り問題点を洗い出して、また同じ事態が起こらないような方向性を、“第三者の視点で”示すことだ。 朝から夕方まで、カメラマンとADを連れて四箇所走り回り、昨夜の状況がわかってきた。 現場は簡易水道地域のため、消火栓が設置されていない(消火ホースと口径があわないため)。 そこで、半径140メートル内に1基、防火水槽が道路下に設置されていた(消防庁は、半径140メートル以内に消火栓や防火水槽、プールなどの水利を設置することを基準に定めている)。 防火水槽には20トンの水が蓄えられていて、これは通常の消防車がだいたい20分間放水できる量。 現場の家は大きい家で、道が狭く、消防署からも遠い山間部。 さらに12日からまったく雨が降らない乾燥状態だった。 出火当初、裏手の倉庫と隣接する竹林が燃えていて、さらに火の粉が舞って隣りの家への延焼が危ぶまれる状態だった。 このため、消防は倉庫と竹林の消火と、延焼を阻止するためにすべての水を用いた。 しかし、燃えていたのは倉庫と竹林だけではなかった。 実は家の方も見えない部分で燃えていて、倉庫があと少しで鎮火する、というところで、いきなり炎を噴出した。 その時、既に防火水槽の水は尽きていた。 慌てて別の防火水槽に水源を求めたが、入り組み、かつ狭い道路であったために、連結に時間を要した。 ようやく連結して消火作業が再開されたが、初期消火の機会が失われた家の火はあまりにも激しく、2つ目の防火水槽がカラになっても、まったく鎮火の兆しは見えなかった。 こんな調子で3つ目と4つ目の防火水槽もカラとなり、遅れて駆けつけたタンク車の水と、近くの川からつないできた水で、ようやく鎮火が完了した……という次第。 消防としてみれば、及第点には程遠い消火活動だったことは確か。 一つは、母屋も燃えていることを察知できなかったこと。 母屋と倉庫の位置関係から考えて、あるいはそれも難しかったかもしれないが、とにかく察知できなかったことは事実。 二つ目は、第二、第三の防火水槽を使用する時の判断ミス。 火事をいち早く消すには、大量の水を一気にかけられるかどうかがカギになる。 同じ量の水であっても、一気に使うか、小出しに使うかでは、確実に効果が違ってくる。 しかし今回は、第一の防火水槽の水がなくなったら第二の防火水槽、第二がなくなったら第三、という具合の、いわゆる「戦力の逐次投入」の形となり、放水効果を十分に発揮できなかった。 三つ目は、タンク車の到着遅延。 最終的に消防は、7台のタンク車を投入した。 7台が積んでいた水は、合わせて1.7トン。 タンク車がもっと早く到着していたなら、わざわざ離れた場所にある防火水槽を苦労して連結しなくても、防火水槽1基分の水がその場で得られた。 消防としては、致し方なかった面もある。 その第一は、現場周辺の水利が、ほぼ無限に水を放水できる消火栓ではなく、防火水槽だったこと。 現場は人口の少ない山間部の集落であり、下水道が完備されておらず、代わりに簡易水道が敷かれていたためだが、このことが消火活動の中断→火事拡大、という結果を招いた。 地理的にも、かなり狭い道路沿いだったため、消防車の現着に支障を来たし、別の防火水槽の連結作業にも時間がかかる悪条件だった、ということもある。 また、家がかなり大きく、かつ静電気がしょっちゅう発生するほど乾燥していたことも、火の勢いの助長に繋がった。 以上、取材したことを4分近くの企画にまとめた。 他社は、「現場では水が足りなくなり、消火に時間がかかりました。出火元は風呂場と見られています」という形でオンエアしていた。 ニュース終了後の反省会で、デスクが「あの企画、自分は好きでした」と言ってくれた。 サブデスクも「他社の記者、今頃デスクから怒られているだろうな」と笑っていた。 自分の今回の企画が、今後の消防体制にどれほどの力となるのか、わからない。 防火水槽の増設にしても、予算や費用対効果の面から簡単にできるものではない。 それでも、取材した消防幹部は、「今回のような防火水槽のみの山間部の火事の際は、タンク車の早期集中投入を図りたい」と言っていた。 その言葉をオンエアできたことは、少なくとも無駄ではなかったと思う。 何より、社内での自分の評価を高められた。 ならば、いい。 4月21日(木) 朝6時ごろ、マイケルの陣痛が始まった。 陣痛ってアンタ。予定日は5月2日ですぞ? 初産の時は予定より早く生まれることがあるとは聞いていたが、2週間近くも早いじゃないか。 とにかく準備を済ませて病院へ。 しかし、診察をしてもらったマイケル曰く。 「なんか楽になってきた。今日は入院しないでいいかもしれないから、荷物は持って帰って」 ああ、そうだろう。 いくらなんでも早すぎるもんな。 納得してそのまま会社へ。 しかし、10時過ぎにマイケルから電話。 「やっぱり入院することになっちゃった。荷物持ってきて」 その日は地震関連の企画をすることになっていたが、カメラマンとADと荷物を車に乗せて、取材の前に病院へ行った飼い主って公私混同男。 午後3時過ぎ、病院に駆けつけていたオフクロから電話。 オフクロ「生まれたよ。女の子」 飼い主「早っ!」 長い人になると、陣痛の始まりから出産まで2日ぐらいかかるというし、初産はなおさら時間がかかるというのに、えらく早く終わったな。 ちょうどその頃は取材も記事打ちも終わり、後は編集のみという段階だった。 デスクに「40分、時間を下さい! 子供が生まれたんです!」と目をぎらつかせて直訴。 「いいよ」の返事も待たずに会社を飛び出し、「待ちに待った」という表現を使う間もなく生まれてきたカミーユと対面した。 驚いたことが二つある。 ひとつは、カミーユの後頭部。 なかなかマイケルの腹から出てこないということで、吸引機を使って外の世界へ現れたカミーユの後頭部、「知能指数は! センサンビャク!」で有名なルチ将軍(昭和40年代生まれ限定ギャグ)も尻尾に帆を巻いて逃げ出すほどの出っ張りぶり。 三国志でいうところの「反骨の相」か。 ま、赤ちゃんの頭は柔らかいので、日が経てば普通の頭になるそうです。 もうひとつ驚いたのは、マイケルの表情。 出会って2年とちょいになりますが、カミーユを胸に抱いて寝ているマイケルの表情は、初めて見るものでした。 達成感、満足感、責任感。 ああ、これが母親の顔か、と思った。 時間がないので、慌しくハンディカメラを回してカミーユ誕生の事実を立ちレポ。 早くも親バカ全開であるが、すぐ会社に戻らなければならない。 カミーユの柔らかいホッペに指先で少し触れて、後ろ髪引かれる思いで会社に帰った。 今夜は会社の歓送迎の飲み会だったが、飼い主は夜勤のため会社に待機。 飲み会の幹事を務めるSピーから電話がかかってきたのは、夜9時前ごろだった。 「部長がTさんの子供のことを発表しまして。『なんでTがいないんだ』って話になってるんですよ。というわけで、来てください。夜勤は僕が代わります」 明らかに不機嫌顔になった夜デスクに詫びつつ、タクシーに乗って会場に向かう。 ちょうど警戒電話の時間だったので、タクシーの中で各警察署に電話をする。 ところがまあ、こういう時に限って、死亡事故発生のネタを掴むってのはどういうことよ? 夜ニュースも近いので、慌てて夜デスクに電話して、モバイルで記事打ち。 記事を打ち終わったのは、タクシーが会場に到着した頃だった。 飼い主が使っているモバイルは、記事の送信に3分ぐらいかかる。 地面にモバイルを置いて送信クリックを押し、モバイルを抱えたままそっと会場入り。 「まだか〜! 送信完了はまだか〜!」とやきもきしながら画面を見ていると、「おおお! パパが来た!」ってなもんで強引に壇上に引っ張られ、挨拶させられた。 かなり頭が混乱していて、何と挨拶したかよく覚えていない。 あ。一応事故のニュースは、夜ニュースに間に合ったそうです。 飲み会が終わった会場の外で、ADがいきなり飼い主のバッグをひったくった。 そして、Mっちやカメラマン、ADたちに取り囲まれ、盛大に胴上げ。 酔っ払いに胴上げされるというのはかなり怖い。 高度もえらく高かったし。 でも、嬉しかった。 二次会には行かず、病院へ。 面会時間はとっくに過ぎていたが、「今日生まれたもので」だの「荷物を持ってきたので」だの理由をつけて、何とか中に入れてもらった。 ここで初めて、ゆっくり落ち着いてカミーユと対面できた。 カミーユはじっと目を閉じ、スヤスヤと眠っていた。 おそるおそる抱っこしてみる。 こいつが俺の子供か。 可愛い。メチャクチャ可愛い。信じられないぐらい可愛い。 抱っこして、しみじみとその感慨に浸った。 カミーユよ。夕方はせわしかったが、改めて初めまして。僕が君の父ちゃんです。よろしくね。 これから親子三人で、たくさん笑おうな。 命名「瑠歌(るか)」 カミーユがこの名前を気に入ってくれることを切に願う。 4月22日(金) 午前中から昼過ぎまで、病院に入り浸り。 カミーユが動くたびに「わーわー」。動かなくても「わーわー」。 見ているだけで全然飽きない。 本当は夜勤だったのだが、早番のMっちが「僕が遅番もやりますから、Tさんは赤ちゃんのところへ行ってください」と言ってくれた。 ありがたく好意に甘え、夕方ニュースが終わると病院へ。 しかし、あっという間に面会時間も終わってしまい、渋々家に帰る。 一人のアパート、携帯電話やハンディカメラで撮ったカミーユの姿を何度も何度も見返した。 4月23日(土) 休み。 朝から病院でカミーユとの触れ合いを楽しむ。 今日はマイケルの会社の同僚がたくさん来てくれた。 マイケルの友達からのメールによると、早くも飼い主は「親バカ」に認定されたとのこと。 いったい何時間、カミーユを抱っこしていたかもわからないが、ホントに時間が経つのを忘れた。 ただ「可愛い」のではない。 この感情をうまく表現できる語彙が思い浮かばないのがもどかしい。 一番近い表現は、「いとおしい」。 自分の腕の中でスヤスヤと寝息を立てている我が子。 いい子に育てよう。いい親父になろう。 そして、一緒にたくさん笑おう。 面会時間が終わってアパートに帰ると、歩いて近くの焼肉屋へ。 三日遅れながら、カミーユの誕生を一人、ビールで祝う。 ようこそ、カミーユ。おもしろき世界へ。 君の誕生を心から歓迎する。 |
| 4月17日(日)、18日(月) 4月17日(日) 取材先へ向かう途中、アホのニックと飼い主の会話。 飼い主「ニックさあ。エッチ画像200枚持ってるっていったよね」 ニック「はい」 飼い主「系統的にはどんなの集めてんの?」 ニック「ん〜。どんなのがあるかな」 飼い主「スカトロ?」 ニック「どうしてみんな、僕をそう見るんですか」 飼い主「みんなから言われているんだ」 ニック「学生時代、友達と“エッチ五人衆”を構成していまして」 飼い主「ほう」 ニック「その中で僕は、“スカトロブルー”と呼ばれていました」 飼い主「(爆笑中)……他のメンバーは?」 ニック「隊長は“デブ専レッド”でした。平井堅みたいにカッコよくてもてる人だったんですけどねえ」 飼い主「(悶絶中)……他は?」 ニック「えーとですね。ハイスクールガールイエロー、ロリコンブラック、パンチラピンクです」 飼い主「(抱腹絶倒中)……」 ニック「スカトロだって不本意なのに、さらにブルーですよ?」 飼い主「ブルー、イヤなの?」 ニック「イヤです」 飼い主「じゃあ何色がいい?」 ニック「う〜ん」 飼い主「ならば好きなエロの方向性は?」 ニック「そうですねえ……お下げで純情な女子高生、いいですねえ」 飼い主「お下げバイオレット」 ニック「紫なんですか? ああ、短いセーラー服の丈の下から見えるおへそも素晴らしい」 飼い主「じゃあ、おへそオレンジ」 ここで皆さんに問う。 飼い主とニック、どちらがアホだと思いますか? いや、この聞き方は正しくないな。 飼い主とニック、どちらが“より”アホだと思いますか? 4月18日(月) 休日を利用して、マイケルとともにチャイルドシートを買いに行った。 1万6000円とはかなりお買い得ではあるまいか。 ポル吉に装着できるか確認して、そのまま購入。 あとはカミーユが乗っかる日を待つのみです。 それにしても、あと2週間か。 待ち遠しいですわ。 |
| 3月25日(金)〜4月16日(土) 「隔週記」とコンテンツ名を変えてほどなく、早くも「半月記」へと様相を呈しつつあるな…… 3月25日(金) 飼い主とマイケルの寝室は四畳間。 洋服棚などもあるのでかなり狭く、布団の上以外に歩く場所がない。 これではカミーユ出生後しんどいだろうということで、お部屋の模様替えを行った。 いろいろ動かして、かなり使い勝手も向上。カミーユ、いつでも生まれてこいや。 3月26日(土) 土砂崩れのA町へ。 道中の車内、ADのニックがアホであるということが今更ながら判明した。 以下、アホなニックの語録。 「ネットでエッチな画像を集めているんですよ。もう200枚を超えました」 「なんで枚数がわかるのか、ですって? 全部に通し番号を打っているからです」 「時々ランキング順に並び替えています。『君が栄誉ある1番じゃいかんだろ』と言いながら」 「ただ、僕のパソコン、CDロムに画像を落とせないんですよ。最近パソコンの調子も悪いし、これが消えちゃったら相当ヘコむと思います。『僕の喜び組がー!』って」 「キン肉マンのゲームをやってたんですけど、最後の最後にザコキャラにやられちゃって、悔しさの余り、自分を痛めつけたくなったんです」 「それで、ネットで『グロい画像』で検索したんです。グロ画像で自分を痛めつけようというわけで」 「そしたら想像以上にグロい画像を見てしまって、かなりヘコみました」 「どれぐらいヘコんだかというと、『もう家出しよう』と本気で思ったほどです」 ニック25歳。 世の中には、愉快なヤツがたくさんいる。 3月27日(日) 新聞社時代の同僚だったM(現姓W)が飼い主のアパートに遊びに来た。 Mは会社が倒産する2年ほど前に寿退社していて、現在一女の母。 酒は余り飲まなかったが、昔話や今の状況など、マイケルと三人で騒いだ。 Mの亭主は午前2時過ぎごろに帰宅、4時ごろ睡眠、8時ごろ出社というとんでもないローテーションで仕事をしているという。 「自分はけっこうしんどい仕事をしている」と思っていたが、上には上がいる。 睡眠時間4時間弱なんて、時々ならまだしも、生活のローテとするなど飼い主には絶対無理です。 Mの長女チーちゃんも来ていた。 最初は顔見知り全開だったものの、あまりにしつこい飼い主の「遊んで攻撃」に根負けしたチーちゃん。 最後は飼い主とクルマのオモチャでキャッキャ言いながら遊んでくれた。 3月28日(月)、29日(火)、30日(水) フツーに仕事。 事件や事故はそれなりに発生したが、大きなモノはなし。 何より。 3月31日(木) 夜勤。 午後9時過ぎ、喫煙室でタバコを吸っていると、デスクが「H町で火事があったらしい。調べてくれ」と言ってきた。 またかよ、と思いつつ警察に電話。 受話器の向こうの警官の声は、緊張していた。 警官から内容を聞き、腰を抜かしそうになった。 すぐ、報道局全員に聞こえるように叫ぶ。 「H町の火事、子供5人が所在不明です!」 帰宅していた社会部全員が呼び出され、2人が現場、2人が本社で情報収集・記事打ちと振り分けられた。 第一報を掴んだ飼い主は、夜ニュースのオンエアが近いということもあり、またも本社で記事打ち担当。 クソ、現場に行かせろ。 「所在不明」の5人は、0歳児から12歳まで、全員子供。 日付が変わる前に、全員が遺体で発見された。 悲惨すぎる火事であり、当然全国中継だ。 キー局から「翌朝のニュースで計4回、中継をしたい」との連絡があり、デスクと飼い主はその準備で走り回ったり電話をかけまくったり。 そのまま本社で夜を明かした。 4月1日(金) 午前5時ごろ、最初の中継。 ここで、「家を映すな! 訴えるぞ!」と遺族が中継を妨害しようとしている、との連絡が現場クルーから入った。 訴えられたらどうなるというものでもないが、本番中に割り込まれるのは困る。全国に恥を晒すようなものだ。 協議の結果、家から離れた場所に撮影ポイントを移し、家をカメラに収めない画格でのリポートとなった。 マイクを握ったのは、Mっち。 ただでさえ「心臓に毛が生えている」のに加え、全国中継を数回経験しているだけあって、安心して見ていられた。 ただ、ほぼ同時間にオンエアされた他局の中継では、焼け落ちた家がしっかり映っていた。 どうなっとるんだ?と、しばらくスッタモンダとなった。 ウチも他局も新聞も、親たちがパチンコに行っている間の火事であり、出火当時、家には子供だけしかいなかったことを伝えていた。 このことについて、母親と祖母が猛烈に抗議している、との連絡が入った。 曰く「自分たちは買い物に行っていて、パチンコ店にいた夫たちを迎えにいっただけだ」と。 家が焼け、子や孫が死んだ。 間違いなくこの両親と祖父母は、「被害者」である。 昨夜、「5人全員が死亡」と確認された直後は、親たちはどれほど嘆き悲しんでいることだろう、と思った。 しかし、日付が変わった早い段階で、このパチンコの件が明るみになってから、社内で親たちへの同情を抱いていた者は皆無だった。飼い主も含めて。 大人4人、全員が家を出ていた。12歳の女の子に、0歳から4歳の子供4人を任せて。 12歳の女の子は、2人の幼児とともに、風呂場で発見されている。 少女は、幼い甥と姪を両腕に抱きかかえるようにして死んでいたという。 他に頼れる者が誰もいない、死を待つだけの時間。 彼女はどれだけ怖かったか。恐ろしかったか。 それなのに、「パチンコをしていたのは、夫と祖父。自分たちは買い物をしていただけだ」だと? 違う。全然問題が違う。 5人の子供が死んだ直後の親の取る行動が、その抗議か? 1人の小学生に4人の幼児を任せて、大人全員が4時間以上家を開けていた。 そのことに後悔はないのか。悲嘆はないのか。 毎年夏になると、車の中に子供を置いたまま何時間もパチンコをして、そのまま子供を死なせるという馬鹿親が必ず出てくる。 この親たちも似たような面があるのではないか。 保護責任者遺棄致死罪で逮捕できんのか、と本気で思った。 昼ニュースが終わったところで、県警の捜査一課にこの疑問をぶつけた。 理事官によると、県警ではパチンコの件がわかった段階で、親たちを立件できるかどうか、検討を続けていたという。 「夕べからずっと調べてみた」 理事官は言った。 「しかし、判例がない。車の中に放置して子供を死なせる事例にまで拡大させることは無理だ」 その夜は、県警の懇親会だった。 火事の現場に行っている記者も多く、最初は集まりも悪かったが、徐々に記者も増えてきて、おおいに飲んだ。 飼い主は一杯目のビールを飲んだ瞬間、「あ、オレ、酔っ払った」と察した。 よくよく考えたら、40時間近く一睡もしていなかった。 そういや本当は今日、休日だったんだよなぁ。 4月2日(土) またも休日出勤。 かなり目が痛い。 4月3日(日) ようやく休みをもらえた。 昼過ぎまで寝て、午後3時を過ぎたところでまた寝る。 久々の休日なのにマイケルには申し訳なかったが、なんとか疲れも取れた。 これで週末まで働けるな。 4月4日(月) 先週から取材を進めていた飼い主の「治安企画」がオンエアされた。 相変わらず改善の余地はあるが、H町の火事関連で取材時間が限られた割には、まあまずまずの出来かな、と。 4月5日(火) 夜勤だったが、出動はなし。 ええこっちゃ。 4月6日(水) 取材で駅前広場を歩いていると、素敵な光景に出くわした。 ターミナルに至る階段に座っている、女子高生3人。 内1人が見事にパンモ○状態。 何とも生々しいピンク色に、飼い主とユイえもんカメラマンとADのニックはおおいに喜んだ。 飼い主「ユイえも〜ん。あのパンツを映す道具をくれよぉお。とりあえず、そのテレビカメラで」 ユイえもん「いや、さすがにそれはヤバイ」 ニック「僕、ちょっと近づいて見てきます!」 飼い主&ユイえもん「なぬ?」 一目散に女子高生の方へ駆けて行ったニックは、至近距離に近づくと、ことさらゆっくり歩いて間近で花園を堪能し、後方に回って飼い主たちに向かってガッツポーズ。 やはり、ニックはアホだった。 4月7日(木) どんな仕事していたか覚えていない。 4月8日(金) 休み。 最高にいい天気だったので、マイケルとともに花見へ行ってきた。 市内の花見ポイントは人でいっぱい。 人ごみはいやじゃ、郊外へ行こう。 巨大な磨崖仏で有名なKN町の桜、見事に満開。 川のほとりにビニールシートを敷いて、途中のパン屋で買ったパンをモシャモシャと食べる。 運転があるので酒はなしだが、リラックスした時間を過ごせました。 4月9日(土) 防空壕と思われる横穴に入った男子中学生4人が死亡、という事故が発生した。 死因は、ほぼ密閉状態の洞窟内で火を焚いたことによる、一酸化炭素中毒。 灯りをとるため、ダンボールや木クズなどを燃やしていたらしい。 土曜日で本職のカメラマンは休みのため、飼い主が現場でカメラを回した。 急傾斜の崖。救助隊員がふらつきつつ、タンカを運んでくる。 タンカには、土のような顔色の子供が横たわっていた。 鼓動が激しく打つのを感じながら、子供の顔が映らない画格でカメラを回し続けた。 事故発生からすぐに、現場の洞窟に至るルートは閉鎖された。 しばらくして、呼び出しを受けていたカメラマンのヤマさんが現場に到着。 ヤマさんに撮影を任せることで、飼い主は情報収集に専念できるようになった。 情報を集める中で、現場の洞窟に至る別のルートの存在を知った。 状況的に、他社はまだこのルートを掴んでいない。 チャンスだ。 マスコミが集まっていたのは現場の上。 別ルートはその反対側、下から洞窟へと上がっていくもので、完全に死角となっていた。 ただしそのルートは、うっそうとした竹林。 カメラを持っての洞窟探しは相当しんどそうだったので、ヤマさんとニックには待機してもらって、飼い主一人で竹林を歩き回った。 洞窟を発見したのは、およそ5分後。 うまい具合に、警察も消防も上に上がっていて、そこにはいなかった。 警察が下りてきたら、追い出されることは間違いないので、すぐヤマさんの携帯に電話して上がってきてもらう。 経験豊富なヤマさんは、説明しなくてもそんな状況ぐらい察してくれている。 急な傾斜で、至るところに竹が倒れて行く手を塞ぎ、ぬかるんだ泥地に足を取られる、という悪路を、8キロのカメラをかついで上がってきたヤマさんは、さすがに荒い息をついていた。 それでもRECボタンを押すと、ピタッと息を止めて現場の絵を撮っている。 その間飼い主は、立ちレポの文章を頭の中で必死にめぐらせていた。 時間は限られている。 消防隊員が下りてきたのは、立ちレポの撮影が終わった頃だった。 ルートを閉鎖したつもりだった消防隊員は、いるはずもない人間たちの存在に驚き、絶叫した。 「オイ! マスコミが入ってきているぞ! 警察を呼べ!」 ヤバい雰囲気になってきたが、こっちはもう、撮るべき絵は撮っていて、後は撤収するだけ。 ヤマさんとニックは先に下りてもらい、飼い主一人でその場に残り、警察官を待つ。 こういう時、現場の責任を取るのは記者の仕事だ。 「おい、コラ! おまえどこから入ってきた?!」 下りてきた警官は、かなり高飛車に怒鳴ってきた。 とはいえ、ここで「何ッスか! 別に現場は荒らしちゃいませんよ! 県民には知る権利があるし、こっちには伝える義務があるんだ!」的脊髄反射丸出しの反攻に転じるヤツは馬鹿である。 ケンカしているヒマがあったら、近所住民などに取材をしている方が遥かに意味がある。 口答えは一切せず、「すいませーん! すぐ出まーす!」と愛想良く叫び返す飼い主に、警官は怒る気をなくしたようだった。 そうでなくても、警察にはやるべきことがいっぱいあるのだ。 「もう入ってくるなよ!……ああ、それから!」 さっさと逃げようとする飼い主に、警官は再び怒鳴った。 「他のマスコミ連中には入り口を教えるな!」 「そりゃあもう!」 速攻で答える飼い主。 スクープ映像に至るルートを他社に教えてやる義理はない。 ちなみに、他のテレビ局や新聞は、最後までこの裏ルートを発見できなかった。 よって、事故直後の洞窟の入り口を報道できたのは、ウチだけだった。 正真正銘のスクープ映像。しかも、全国モノのニュースで。 大勝利。 その夜、本社にいた全員が興奮していた。 基本的に、全国に放送される地方のニュースというやつは、災害か事故か事件か、とにかく人が死んだ場合がほとんどです。 4人の中学生が死んだ事故。 その事故現場の立ちレポ。 これが飼い主の全国デビューでした。 4月10日(日) 事故続報の取材。 社会部4人は、もちろん全員出動。 警察から洞窟入り口の写真が各マスコミに提供されたが、こういう提供写真は「○×警察署提供」の一文を入れなければならない。 そんなモノが必要ない、動いている映像を撮っているのは、ウチだけ。 現場ですれ違う他社連中からのやっかみが気持ちよかった。 土曜日と日曜日のニュースは、変則的な時間帯に放送される。 明日は通常ニュースに戻る月曜日。 各社とも特集記事を打ってくる。 当然、ウチも出さなければならないが、その仕事は飼い主がやることになった。 夜ニュースが終わると、そのまま編集室に閉じこもって、事故関連の映像を収めたおよそ30本のVすべてをチェックした。 どのテープにどの映像が入っているか、それを把握していないと、いざ編集の段階で大混乱に陥る。 家に帰ったのは、午前7時ごろ。 すぐにスーツに着替えて、再び出社した。 4月11日(月) 朝の「特ダ○」で、防空壕事故が放送されていた。 飼い主の立ちレポも流れていて、自分の仕事の意味に今更ながら興奮した。 しかし、スクープ映像の勝利に酔いしれていられたのも、ここまでだった。 飼い主は、ドキュメントと企画本編の合わせて2本の読み込み企画を担当することになっていた。 ただでさえ時間がかかる読み込み企画、まったく寝ていないことによる疲労、そして、「確認不足」。 訂正コメントを出すミスをやっちまった。 天国から地獄へ。 地で行ってしまいました。 4月12日(火) クイズ「子供の時は嬉しくてしかたがないのに、三十路を超えるとまったく嬉しくないものってなーんだ?」 洞窟事故絡みの取材は続く。 学校側から「子供の精神状態を考慮して、取材は自粛してほしい」との要請が入っている。 事態は、Y町の交通事故とまったく同じ展開となっていた。 クイズの答え:誕生日。 4月13日(水) ろくに睡眠時間も取れずに早朝から深夜までの勤務。 さすがにフラフラしている。 加えて、水曜日の今日は部会と来たもんだ。 部会、長いんだよね。。。 4月14日(木) 「明日、ネタがない」 デスクからそう言われたのは、午後3時過ぎ。 「防空壕事故、明後日で一週間だろ? 『明日、事故発生から一週間』で一本企画を作ってくれ」 本気で眩暈がした。 A町の土砂崩れやY町の交通事故のように、「事故原因の解明は重要だが、まだ判明していない」というパターンなら、「事故から一週間です」で始まる企画は作りやすい。 事故の経緯と現在までにわかっていること、そしてなぜ事故原因がまだ判明していないのか、判明するにはどのような取り組みが必要で、いつ判明しそうなのか、という順立てで作ればいい。 しかし、今回の事故は難しい。 4人の少年が防空壕の中で火をつけ、一酸化炭素中毒で死亡した、という原因がわかっていて、かつ別の人間に過失は認められない、という今回の事故。 企画として幅を広げることは難しい。 かつ、時間がなさ過ぎる。 あと2時間弱で、行政関係は店じまい。 いろいろ情報収集するにしても、今日中に何らかの目処を立てることは不可能。 こんな状況で、いったいどんな企画を作れと? ただし、拒否することはできない。 記者だってサラリーマンである。 4月15日(金) 企画の取材で、朝から県内各地を走り回る。 本社に帰り着いたのは午後4時で、それから記事ウチ→読み込み→テープ編集、という慌しさ。 これまでに飼い主が持っている読み込み企画の編集の最短記録は、一時間半。 しかし、今回は記事打ちもまだ終わっていない段階での帰社だったので、「オンエアに間に合うだろうか」と、不安で胃が痛くなった。 ところが、読み込み撮影から編集まで、わずか一時間で完了したことに心からビックリ。 デスクも驚いたそうで、オンエア終了後、「午後4時過ぎに記事を打ち始めただろ? ああ、こりゃニュースが始まっても編集終わっていないだろうな、と覚悟してたよ」とニコニコ笑ってカミングアウトしてた。 何より、他のデスクから「説得力のある内容だった」と言われたことが一番嬉しかった。 もう伝えるべきものはあらかた伝え終えたと思っていたが、必死になって探し回れば、まだまだ取材する余地は残っているものだ、と昨日の憤怒も忘れてそう思いました。 4月16日(土) 休みがもらえました。ワーイ。 布団を干して、洗濯して、食糧買出し。 こうも仕事ばかりの日々が続くと、休みというものが宝石のように貴重に思えてくる。 たまりに溜まった日記改め週記改め隔週記改め半月記を更新する。 3時間以上かかった。 こうも更新が滞ると、ホームページビルダーを立ち上げるのも、ぶっちゃけ億劫になってくる。 もう少しマメに更新しなければ。 |
| 3月13日(日)〜3月24日(木) 3月13日(日) 起きてボーッとしていると、かつての新聞社時代の後輩Fから電話がかかってきた。 「ウチの実家近くで警察が動いているみたいなんですけど、何かあったんですか?」 その電話から一分もしないうちに、今度は地元新聞社で働いている同じく元後輩のNから同様のメールが来た。 警察に確認してみると、強盗だか窃盗だか微妙な線の事件が発生したという。 本社に電話すると、もうとっくに掴んでいて、絵も撮り終わったとのこと。 おう。さすがに仕事が早い。 今日の夕方ニュースで、初めてスーパーを担当しました。 スーパーとは「すごい」とか「超」とかの意味のヤツではなく、ニュースやバラエティ番組でテレビ画面の下などに出ている文字のことです。 あれをニュースの流れに合わせて出したり消したりする仕事をやったのです。 バラエティの場合、テープを編集する段階でスーパーを上書きし、そしてオンエアします。 一方のニュースは、コンピュータで作っておいたスーパーを生放送に合わせてボタンをオンオフして載せる、という手法になります。 ニュースで時々、画面とスーパー、それにアナウンサーの喋りがチグハグになっている場面をご覧になられた方もおられるでしょう。 それはやり直しが効かない一発勝負の生放送でやっているためのヒューマンエラー、または予期せぬ機械トラブルが発生しているのです。 こう説明すると、「どうしてニュースのスーパーは、バラエティみたいにあらかじめテープに上書きしないのさ? そうすれば少なくともヒューマンエラーは無くなるのに」と思われるかもしれません。 実際、読み込みの企画などでは、そうする場合もあります。 ただ、生放送のニュースの現場では、その手法はちょっとそぐわないことが多い。 理由のひとつは、喋りに合わせてオンオフする手法と、あらかじめテープにスーパーを上書きする作業では、前者の方が全体的な時間が短くてすむこと。 特に地方のテレビ局では、編集機の数にも限りがあるので、ひとつのニュース用テープを作るのに編集機を独占してしまうと、他の編集が遅れてしまう。 その日に起こった出来事をその日に放送するニュースは、とかく時間が押し気味となるので、時間がかからない手法が望まれるのです。 もうひとつの理由は、スーパーをテープに上書きしていても、時としてアナウンサーの喋りのタイミングとフィットしないことがあるため。 そうなると、気持ちの悪い流れになっちゃうんですね。 以上、長々とした説明は終わり。 オンエア30分前に、日曜デスクだった県政部のJ先輩から「スーパー頼むワ」といわれ、速攻で「了解」と答えた飼い主。 それから「スーパーの出し方教えてください」と胸を張って言ってやると、J先輩は腰から砕けた。 オンエア1分前。 ボタンを指先で軽く叩きながら鼻歌を歌っていると、「もうちょっと緊張しろ」と言われた。 そして、本番終了。 完璧、とはいえませんが、初めてにしてはまずまずの出来でした。 3月14日(月) 休み。 床屋さんに行くつもりだったが、外に出る気にならず、家でひたすらゴロゴロ。 あ、そうだ。 数ヶ月ぶりに、日記もとい週記以外のコンテンツを更新した。コレとコレ。 それにしても、昨年の十大ニュース、10もネタを見つけるのってかなりしんどいな。 最後はどうでもいいネタのオンパレードになってる。 コータの日常に関するメールが妹から届いた。 外食した時、飲み物がほしいって(コータが)言うから、「自分で頼んでごらん」って言ったら、「うん。すみませーん!」って大声で店の人を呼んでねぇ。 いよいよ店の人が来て、ちゃんと言えるかなぁって私とダンナが黙って見てたら、しばらく何て言ったらいいか考えた後、店の人をキッ!と見つめて、「飲み物はいかがですか!」って堂々と言ったよ。 あまりにも可愛くて大爆笑しそうだったけど、コータの精一杯を笑ったら傷ついちゃうかなって思って、ダンナと顔を見合わせてこらえたよ。 お店の人もそれでわかってくれて、「はい。ジュースがいいかな?」って対応してくれたよ コータ、おまえってホントに愉快すぎ。 で、もう一本。 昨日はダイセイ君(コータの友達)がシュンに「ダメーッ」って言ったら、シュンがいつものように「ふぇ〜ん」って泣いたんだけど、そこでコータが登場よ。 「俺の弟にダメとかゆーな!」だって。お兄ちゃんカッコイイ! よその人の前では「シュンくぅん」とは絶対に呼ばないし、自分のことも「こおたん」って言わないし、他人の目を気にするようになってきたよ。 家では「ママ、だぁい好き! こおたん、ずっとママといるー」とか言ってるのにね。 ただ、かわいいヤツとばかり思っていたが、少しずつコータも「兄貴」になりつつあるらしい。 このまま、素直で弟思いで男気のある子供に育ってほしいものです。 飼い主は、「人間性というものは、幼少期の人との接し方によって決まる」と、子育てしたこともない分際で思っているのだが、その考えに照らすなら、妹夫婦には脱帽である。 今のうちに、子育てのハウツーを妹に聞いておかなければ。 3月15日(火) 今日は公立中学の卒業式。 例の事故があったy町にまた行ってきた。 おそらく、この事故がらみでここに来るのは、これが最後となる。 次にこの事故関連のニュースを出すとしたら、事故原因が判明した時か、あるいは遺族が運転手の家族を相手取って損害賠償の訴訟を起こした時(運転手は事故から数日後に死亡している)だが、いずれの場合も、Vは事故発生時のものを使えばいい。 最後とはいえ、やはりテンションは上がらない。 自分が嫌われているという自覚を持ちながら、「話を聞かせてください」とマイクを向けるのも、かなりつらい。 本音を言えば、もうここには来たくないが、事故の関係者にしてみれば、逆に「二度と来るな」と言いたいところなんだろうな。 今回も立ちレポをやった。 先日の火事企画で好評だったアクションリポートに再度挑戦する。 しかし、これがまた大不評。 この映像がニュースで流れた瞬間、報道局内で失笑が溢れて耳が熱くなった。 反省会でもデスクから「何でもアクション入れればいいってもんじゃないぞ」といわれ、さらにヘコむ飼い主。 ここ数日の活躍で天狗のように伸びていた鼻は、見事にへし折れた。 3月16日(水) 寒がりの飼い主にとって、冬は股引きが必需品。 しかし、この「股引き」という響きは何ともジジくさい。 かといって、「パッチ」というのもカッコ悪いし、何か恥ずかしくない表現はないものか…………。 おう、そうだ。 飼い主がズボンの下、ガラパンの上にはいているものは、「股引き」でも「パッチ」でもない。 「アンダーウェア」ということでよろしく。 今日はかなり暖かく、股引き……じゃなかった、アンダーウェアが暑苦しくなったので、トイレで脱いだ。 トイレを出たところで、県政部の美人記者Sさんと遭遇。 ここでそのまますれ違うことができないのが、飼い主の哀しい性である。 「ねえ、Sさん」 ニタニタと微笑みながら、飼い主。 「セクハラしましょうか?」 Sさんの反応は早かった。 「やだ」 しかし、飼い主が右手に丸めて持っている股引き……いや違う、アンダーウェアに気付いたSさん。「それ、何?」と聞いてくる。 飼い主「セクハラさせてくれたら教えてあげます」 Sさん「じゃあセクハラしてぇ〜」 ハウア! Sさんたら何て艶かしいセリフを! 血管を駆けずり回る熱い血潮を感じる飼い主。 ご要望にお応えして、飼い主が取り出したる股引き……もとい、アンダーウェアの丸めたモノを見て、Sさんは再び問うた。 「マフラー?」 飼い主は無言のまま、形がわかるように広げた股引き……しつこい、アンダーウェアをヨン様のように首に巻いた。 えらくウケたので満足。 今日も夜勤。 今夜は何もありませんようにと祈っていたら、夜勤ADのT君が「僕、今年になってから一回も夜勤出動ないですよ」と言う。 ほう、そうか。 それでは「夜勤即出勤」の飼い主と、「夜勤はノンビリ」のT君の対決というわけだな。負けないぞ。いや、勝ってどう県民に申し開きするんだ飼い主。 結果的に言えば、その夜、本社での出動はなかったが、支局の管轄内では死者が出る火事が発生した。 なんか、ホントに俺って死神してないか? 3月17日(木) 飼い主のアパートの大家さんは一階に住んでいて、ネコを飼っている。 ちなみに、飼い主たちは三階の居住です。 このネコ、飼い主が好きなのか、それとも飼い主があげるカツオブシが好きなのか不明だが、とにかく飼い主が帰ってくると、「ミャー!」とかわいい鳴き声を上げながら部屋に入ってくる。 こやつの本名は不明であり、プクプク太っていることから、当初は「ブーねこ」と呼んでいた。 しかし、マイケルが「そりゃあんまりでしょ」と言うので、「ならテポドンと呼ぼう」ということになって、その後は「テポ」と略して現在に至っている。 飼い主やマイケルが帰ってくると、テポドンはスタタタタタタと先行して階段を駆け上がり、踊り場でゴロリンと寝転がって腹を見せる。 で、腹に触ると、「続きは部屋の中で、ネ」とばかりに巨大な尻を振りつつ、またスタタタタタタと玄関へかけていく。 「今日もねぇ」 マイケルが言った。 「テポが踊り場で『ローリングかまって」をやってたんだよ」 ローリングかまって。 今日一番笑ったのが、その表現。 3月18日(金) 事故やら事件やらでドタバタの午前中。 午後は人事異動がらみで県警本部内をあいさつ回り。 まあ、特筆事項のない一日。 3月19日(土) ワゴンで日本一周の旅をしながら、各地で自分の個展を開いているカメラマンを取材した。 この計画を会社の上司に告げた時、「休職扱いでもいいぞ」と言われたが、「逃げ道を作りたくない」という思いから、それを断って退職。 去年5月に高知県を出発して、これまでに39都道府県を回り、あと3ヶ月ほどで旅も完了する予定だという。 24歳と若いのに、非常に折り目正しい青年カメラマン。 事故だけには気をつけて、残りの旅を完遂してほしい、と思いました。 3月20日(日) 新聞社時代の後輩Nの元彼女と遭遇した。 「肉ジャガの彼女」と称されたその存在は知っていたが、本人と会うのは初めてである。 さっそくNに悪魔のメールを送る。 飼い主「肉ジャガの彼女は、今も元気に働いているよ」 N「あの……詳しくお話を聞かせてもらえないでしょうか」 飼い主「いやー世間って狭いねー(写真添付)」 N「よくわかりませんよ!」 飼い主「ミス肉ジャガとマイケルが合コン友達だった。かつ、おまえを含む記者連中との合コン、二度ほどやったことがあるんだと」 N「なるほど……狭いですね」 しばらくしたところで、再びNからメール。 「その合コンにマイケルさんはいなかったんですよね?」 ミス肉ジャガとマイケルは、高校で先輩後輩の間柄。 Nがミス肉ジャガと付き合うキッカケとなった合コンにも、マイケルは参加していた。 つまり、3,4年前にマイケルとNは一緒に酒を飲んでいた、というか、飼い主よりも先にNはマイケルと知り合っていた、ということです。 Nがそのことをすっかり忘れていた一方、人の名前と顔を覚える能力がずば抜けているマイケルは、飼い主と付き合うようになってから何度かNと会っていたにも関わらず、意地悪く黙っていやがった。 いや、飼い主にはそのことを話していたのだが、飼い主の物忘れの早さもギネス級なので、N同様すっかり忘れておった。 「それがおもいっきり合コン会場にマイケルもいたそうだ」 そんなメールを送信して30秒もしないうちに、動揺しまくったNから詳細確認を求める電話がかかってきて、爆笑した。 改めて考えて、運命の不思議さみたいなものを感じました。 もしも、その合コンでNとマイケルが意気投合して付き合う、なんて事態になっていたら。 合コンの席の配置次第では、その可能性は十分にあったのではないか、と思われる。 なんせ、Nは「超」が三つほどつく天然なので、突っ込み担当のマイケルとは波長が合いそうですから。 そうなっていたら、飼い主とマイケルがこうして一緒に暮らしている可能性は、極めて低くなっていたのではないか。 人の人生・運命というものは、ちょっとしたボタンの掛け違いやすれ違いによって大きく変わりうるものだ、と一人で勝手に納得しました。 3月21日(月) 夜勤。 喫煙室で遭遇したカメラマンのヤマさんが「ゲ! 今日の遅番はT君か!」とおののきやがる。 何ですかそりゃと尋ねると、例の「飼い主が夜勤の時は事件事故火事が起こる」伝説の話。 「タコ言っちゃいけませんよ」と飼い主。 今は人類が月面を歩く時代ですぜってアポロが月面着陸したのは何年前だ? しかし、またも死者が出る火事が発生。 支局管内だったので、現場には支局の人に行ってもらい、飼い主は「またかよ……」と思いつつ記事を打つ。 書き終わった瞬間に、今度は市内で建物火災の一報。 現場へ向かうタクシーの中で、「オレ、厄払いした方がいいのかな」と本気で思った。 3月22日(火) 最初に出た勤務表では休みだったのだが、後日出た改訂版ではなぜか「出勤」となっていたため、普通に仕事。 代休の補填はナシ。どうとでもしやがれ。 以前痛かった虫歯、その後痛みも収まったのですっかり忘れていたのだが、また痛くなりだした。 脳髄まで染み渡る激痛に、眩暈すらしてくる。 明日は休みだから、今度こそ歯医者に行こう。 おととい福岡県で発生した地震を受けて、Mっちが明日から援軍として現地へ向かうことになった。 前の新潟中越地震の時のSピーのように、地元局の下で各方面を取材することになる。 こっちはこっちでニュースを作らなければならないのだが、こういうときはお互い様である。 ただし、しわ寄せは来る。 明日の飼い主の休みは、Mっち派遣のために出勤と決定。 歯医者どうしよう。 3月23日(水) 朝イチで歯医者さんへ。 虫歯だと思っていた痛みが、おやしらずによるものだと判明した。 ただ、いろんな歯に虫歯が生じているということで、おやしらず退治は虫歯治療の後の方がいい、と言われた。 せっかくなので、虫歯は全部治療してもらうことにする。 麻酔のおかげで、全然痛くなかった。 子供の頃はけっこう痛かったと記憶しているが、こんなところにも技術の進歩があるということか。 ビバ麻酔。 夜勤。 今度は女性ADのヨネちゃんが「あー! 今日はTさんが夜勤ですか!」とシャウトし、飼い主のハートを傷つけた。 しかし、ホント珍しいことに、この日は事件事故火事が一切なし。 これで死神呼ばわりされずに済む。 3月24日(木) また夜勤。 離島で火事が発生し、一人が死亡した。むぅ……。 県内のバス会社がストライキを計画して会社側と交渉していたため、一時間ごとに労働組合本部に電話しては、交渉の進捗状況を確認する。 こういう時は、「交渉を続けています」と「交渉が妥結し、ストは回避となりました」と「交渉は決裂し、ストライキが実施されることになりました」の三本の記事をあらかじめ作っておきます。 オンエア数分前に予想外の結果が出たりしたら、大混乱となりますからね。 最終ニュース5分前に電話すると、「今、詰めの段階なんだけどね。ここで崩れることも多いからね」との担当者の弁だったので、受話器を耳と肩に挟みながら、デスクに指を一本立てた。 これは、「交渉を続けています」の原稿:パターン1を使用、という意味。 頷いたデスクがスタジオに入っていったところで、担当者は「お。電話がかかってきた。また後で電話ちょうだい」と言ってきた。 それから1分もしないうちに、その担当者から「交渉成立! ストは回避になったよ!」との電話がかかってきてビックリ。 「回避ーっ! 回避ーっ! ストは回避ーっ! 原稿は2番ーっ!」と叫びながらスタジオに駆け込んだ。 いやもう、ホントギリギリでしたが、「先ほど交渉が妥結し、ストは回避となりました」と読み上げるアナウンサーの姿を報道局のテレビで見ながら、これがテレビの醍醐味だよな、とシミジミ思いました。 |