それ行け 雄山!

(漫画)
海原雄山、○○○○○○を初めて食べる











海原雄山。
ご存知「美味しんぼ」の主要登場人物です。



彼の肩書きはまっことすさまじい。
銀座の一等地で厳格な会員制の超高級料亭「美食倶楽部」を主宰する希代の美食家、というのは、
あくまでも雄山の一面に過ぎません。
何と言っても彼は、人間国宝の陶芸家・唐山陶人の弟子であり、
芸・書・絵画に秀でた、100年に一人出るか出ないかと言われる天才芸術家なのです。





天才・雄山、堂々たる登場。
「ズイ」という効果音が重々しさを引き立たせます。
後ろで情けない顔して汗かいているのは、美食倶楽部調理場主任の中川得夫。
「あの」美食倶楽部の調理場を仕切っているわけですから
本来ならけっこうエライ人なはずですが、
こうして雄山と並ぶと、下僕程度にしか見えません。








天才というものは、思考回路や言動において、凡人どもと一線を画すからこそ、天才たりえるもの。
当然のことながら、天才・雄山もまた、その言動において、
そんじょそこらの凡人にはなかなかできないことをやらかしてくれます。
例えば






料理に不手際があるとお膳をひっくり返したり





気に入らない相手にほとんど難癖に等しい怒り方をしたり






公衆の面前で実子・士郎を「豚・猿」呼ばわりしたり






レストランの開店パーティーに
わざわざワサビ醤油を持ち込んで
フランス料理を貶めたり






























えーと、単なる「わがままでイヤな人」のように思えてきました。























唐突ですが、ここでクイズです。
「味覚音痴な人が食べて、忌まわしくて、下衆な食べ物で、
下卑た食べ物で、あさましい食い物で、こんな物」

ってナーンダ?




























その答えは、「ハンバーガー」。














「ハァ?」と思われる方も多いと思われますので、
順を追って説明するといたしましょう。











ある日のこと。
美食倶楽部で働く若い料理人が、「美食倶楽部を辞めたい」と申し出てきました。
美食倶楽部の料理人といえば、なりたいと思ってもそう簡単にはなれない、超エリート養成集団。
そんなすごい所をなぜ辞めるのかと申しますと














だそうです。












下僕の中川も困ってます。












怒る雄山。
ま、食を極める場たる美食倶楽部を辞めてハンバーガーっつーのも、
雄山にしてみらば腹が立つのも当然でしょう。
ただ、天才ゆえに、その怒り方はやはり、尋常ではありません。
















ゆ、雄山先生!! ちょっとお待ちを!!
いくらなんでも、そんな断定はいかんでしょ。人として。




















「アメリカ人=味覚音痴」という飛躍&過激&無茶な断定は、雄山ならでは。
アメリカ人の味覚って、なかなかユニークですよ。
前にテレビで、エビにチョコレートかけて食べるパーティーっての見たことあります。
それにしても、「忌まわしい」って、ハンバーガーに何か恨みでもあるのか?
戦後の荒廃期、腹を空かせた雄山少年の目前で、
進駐軍の米兵がハンバーガー食ってたのがムカついた、とか。
















んでもって、睨む。
自分が作り上げた美食倶楽部と
味覚音痴が食べる、かつ忌まわしいハンバーガー。
後者を選ばれたとあって、
その怒りは相当なものです。























しかし、海原雄山は決して度量の小さい男ではありません。
不本意な形での決別とはいえ、愛弟子は自立の道を選んだのです。
しかも、
味覚音痴が食べる忌まわしいハンバーガーを作る、などとほざいて。
やはり、心配だったのか、雄山は弟子のハンバーガーショップを訪れます。
偶然そこには、雄山の実子・山岡士郎の姿もありました。
親子ですので、当然挨拶します。
親しき仲にも礼儀ありです。

















訂正。
親しくありませんでした。













酷いこと言ってるようですが、こんなのジャブ程度です。
まだ「豚・猿」呼ばわりまでには至っていませんから。

下衆」ぐらい可愛いもんだ。


















でも、いくら「下卑た食べ物」だからって、
ハンバーガーの食べ方ぐらい想像力を働かせてほしい。













しょうがないので、かつての愛弟子は海原雄山に
ハンバーガーの食べ方を伝授します。














「俺、初めてハンバーガーを食べるんだ」という友人がいたら、
ぜひ皆さんもこのようにレクチャーしてあげてください。



















言われた通り、「がぶりつ」く海原雄山氏。
意外と素直ですが、この表情は何とかならんものか、と。

「あの忌まわしい」、と雄山氏自らが糾弾するハンバーガーだけに
マクドナルドに来た子供たちみたいにニコニコ食べることは無理っぽいです。








愛弟子が作った
味覚音痴が食べ忌まわしく下衆で下卑たハンバーガーを一口食べた雄山は
「こんなものは売り物にならん!」と罵声を浴びせ、店を出て行きました。
愛弟子はへこみますが、士郎が与えたヒントによって
自分のハンバーガーが「売り物にならない」理由を悟ります。
そして……。













ある日の雄山のランチは…………






















味覚音痴が食べ忌まわしく下衆で下卑たハンバーガーだった。





包装紙のデザインが全然シャレてないところが潔い。
「味で勝負」という愛弟子の心意気が感じられます。

しかし、フライドポテトやドリンクなしで、ハンバーガー1個だけというのは
ランチとして少ないのではあるまいか?
夕飯までにお腹がすきそうです。














「不味い!」と言われたら、責任を取って腹を切りかねない雰囲気の下僕・中川。
思うに、「切腹したるわ!」などという言葉は、このような強い覚悟を秘めた人だけが言えるもの。
世間知らずの18歳ボクサーが軽々しく口にしてはいけません。


















そんな下僕の覚悟を、雄山は察したようです。
























あ。食べた。

















手書きの「パク」の文字が何だか可愛らしい。























ここから食材当て&感想発表会が始まります。
天才雄山は、食事中も自身の感覚を磨く努力を怠りません。
















これって独り言なんですかね?













マクドナルドあたりで、こんなことブツブツ言いながら一人でハンバーガー食べてる人がいたら



























俺なら速攻で、離れた席に移動する。

























海原雄山。
味覚音痴が食べ忌まわしく下衆で下卑てあさましい食い物完食の図。











ン?
どうなさいました、雄山先生?



































エ……エェェェェェェェッ?!






















さんざん誉めておきながら、「こんな物」呼ばわり。
でも、「素直じゃねーな」などと思うことなかれ。
常人と異なる言動は、天才の天才たる証なのですから。












何はともあれ、これまで食べたことのなかったハンバーガーを完食した海原雄山。
美食を追及する彼にとって、今回はまさしくエポックメイキングにして、
今後の活動においても大いに役立つ出来事となったことでしょう。












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