謀臣たちの思惑〜その三〜






━━許昌、仮王宮
刻は夕方。
忙しそうな者、明らかに暇を持て余している者、それぞれに尋ね、ようやく呂砲の所在が判明した。
仮王宮の西側、許昌の街並みを見渡せ、皇宮も一望できるテラス。
呂砲は一人、そこに立っていた。
「我が君」
背後から音もなく忍び寄った郭図公則は、低い声をかけた。


先ほどの会見の場。
「陛下のお言葉、確かに賜った」
少府から告げられた皇帝の言に、呂砲はようやくそう答えた。
「そこまで陛下の御宸襟を悩ましていたとは、不肖ながら気付かなんだ」
玉座から立ち上がった呂砲は、会見の終了を宣言した。
「明日にでも参内し、陛下にお詫び申し上げる……貴公、陛下にそのようにお伝えしてくれ」
早足で朝見の間から出て行く呂砲。
打ちひしがれたように立ち尽くしている希代之には、一瞥も向けなかった。


「なかなか良き場にございますな。ここなら、許昌全体を一望できる」
風景を堪能する素養とは無縁の男が、展望について語る。
「この街並みを見るに、曹操の力を認識せざるを得ません。ただの田舎町を、ここまで整備し尽くしたのですから……しかし」
郭図公則は、皇帝の住まう荘厳な建築物を指し示した。
「皇宮に関して言えば、話になりませんな。我が君が造営を命じられた大漢宮の前には、曹操の建設した皇宮などただのあばら屋。これこそが我が君と曹操の、漢朝への忠義の差を示すものにほかなりません」
「大漢宮……」
ボソリ、と呂砲は口にした。
「あれの造営……どれぐらい進んでおる?」
「棟梁探しに大司農は難儀しているようです。これさえ調達できれば、すぐにでも完成と相成りましょう」
「まだ、陛下をお迎えするには早いか?」
「皇上が日々の執務や生活をこなされる分に、不足はございますまい。問題は、洛陽に対する皇上の郷愁にございましょう」
「ならば……急がねばならん」
「私の方からも、大司農に造営促進を申しておきましょう」
「そうせよ」
ここまで言って、二人の間に沈黙が流れた。
「わしの認識というやつも、実にたいしたことがない」
ややあって、自嘲気味に呂砲は笑った。
「陛下の忠臣を自認しながら、陛下の洛陽への思いというものを、まったく考慮していなかったのだから……阿保だな」
「皇上に限らず、多くの廷臣にとって、洛陽は生を営む唯一の場だったのです。その思い入れというものは、我が君や私のように、各地を渡り歩いてきた者にはなかなか理解しがたいものなのでしょう」
「わしは」
郭図公則の言葉を聞いているのかいないのか、呂砲は沈んだ声で言った。
「陛下のお心を……その痛みを知ろうとしなかった。忠臣を名乗る資格はない」
呂砲の態度に、郭図公則は「意外」という思いを禁じ得ない。
(殿下は本当に)
郭図公則は首をひねった。
(漢朝への忠義を持ち合わせるようになったのか?)


11年前。
犬賭博師・呂砲と、クビになった傭兵隊長・馬参と、諸国を放浪する徒・郭図公則。
この三人の出会いが、呂砲軍のそもそもの始まりだった。
“挙兵計画”は、当時呂砲が間借りしていたボロ宿で、馬参が作った朝食を食べながら行われた。
この時、郭図公則がおもしろ半分で口にした「漢朝復興」という大義名分に、呂砲は興奮した。
「いや、素晴らしい!」
他の群雄たちとの差別化を図るためのその大義名分は、そのまま呂砲軍の、そして涼の背骨として、今でも存在し続けている。
ただし、盟主である呂砲にとってそれは、あくまでも「名分」のはずだった。
元々呂砲は、漢朝への忠義などまったく持ち合わせてはいなかった。
郭図公則は、その事実を知っている。
しかし、先ほどの少府との会見の場で、皇帝への忠義を問われた呂砲は、明らかに動揺していた。
(あるいは)
呂砲の横顔を覗き見しつつ、郭図公則は思う。
白々しく“大義名分”を口にするうちに、呂砲は自分自身を洗脳してしまっていたのかもしれない。
本人も気付かぬうちに。


「明日、参内するとおっしゃいましたが」
上の空の呂砲に、郭図公則は語り掛ける。
「馬参の処分。如何ようになさる御存念でしょうや?」
「おぬしはどうすべきと考える?」
逆に尋ね返す呂砲。
その声には、生気がなかった。
「軍団長職の解任は、やむを得ないかと存じます」
恭しく郭図公則が答えると、呂砲はさらに尋ねる。
「後任の軍団長は誰を据える?」
「鐘ヨウを推薦いたします。もちろん、臨時ではございますが」
「鐘ヨウ……」
「彼の者、曹操の配下として長安を守護するころより、道理をわきまえた男として、朝廷からの評判も悪くはありません。朝廷を宥める一手になるかと」
「……」
「その上で、馬参の悪行を可能な限り死人に押し付け、全体の罪を減じ、あとは適当に手柄を立てさせて復帰させましょう」
「復帰させましょう、とは……おぬしも簡単に言う」
「金10万の件が既に朝廷に知れている以上、もう少し金が必要になるかもしれません。工作資金は洛陽より用意いたします」
郭図公則の案に呂砲は答えなかった。
再び、仮王宮からさほど離れていないところに立つ、皇宮を見つめている。


「挙兵からわずか9年にして、わしは王の位に就いた」
呂砲は言った。
「そして、10年目で陛下を曹賊からお救いできた……なぜだと思う?」
「我が君の御徳と意志に、天が道を開いたがゆえ、と存じます」
「追従は良い。おぬしが思うこと、そのまま答えよ」
「は……」
郭図公則はしばらく考え、答えた。
「臣下が上に立つお方を批評するなど、まこともって不忠の極み。なれど、あえて申し上げますならば、我が君の適材適所の妙。これに尽きましょう」
「続けよ」
「軍事、内政、外交、計略。勢力を築くに柱となるこの四つを、殿下は能力ある臣下に全権託されました。責任を委ねられた者は、それを粋に感じます。その感情が、己の持っている力を二倍にも三倍にもいたしました」
「言葉を変えるのなら、こういうことだ」
手すりに身を委ねながら、呂砲。
「おぬしを含めた七同志……その働きの賜物だ」
「恐れ多い言葉。その一言で、全ての苦労が報われる想いでございます」
「しかし、七同志がひとつの方向にまとまっていたからこそ、治世にしろ外征にしろ、成果が上がった、とわしは思う。皆の向く道がバラバラだったなら、とっくに我らは潰されていた」
「我が君の謙虚なお言葉、胸に染みます」
「追従はやめよと言うに……ではなぜ、七同志は同じ方向にまとまっていたと思う?」
「それはまさに、我が君の御徳以外にはございませぬ。誓って、これは追従などではございませんぞ」
「違う。はずれだ」
呂砲は、乾いた笑みを浮かべた。
「馬参がおぬしらをまとめていたのだ。意識するしないに関わらず……まあ、おぬしにとっては、面白くない話かもしれんがな」


挙兵当時、呂砲軍唯一の職業軍人だった馬参。
その経験、そして力量は、ヨチヨチ歩きの呂砲軍が一定の力を得るまで、大きな拠り所だった。
馬参は間違いなく、一回りも若い他の七同志たちのお手本だった。
その馬参が、呂砲への忠義を律義に示し続けたことは、やはり他の七同志にも大きな影響となった。
すなわち、七同志の呂砲への忠義は、馬参への敬意を介在した上で初めて存在していたのだ。
「犬賭博師に忠義を誓うなど、酔狂にほかならん」
呂砲は言った。
「もしも、七同志の中に馬参がいなければ、我が軍は間違いなく、途中で分裂していた……そのことは断言できる」
そう語る呂砲の口は、醜く歪んでいる。
呂砲はこれから、そんな馬参への処罰を口にしなければならない。


「郭図公則」
しばしの沈黙の後、呂砲は言った。
「おぬしに頼みたいことがある」
「頼みたい、などとは恐れ多いおっしゃりよう」
郭図公則は大袈裟に首を振った。
「どうぞご命令くださいませ。臣は、我が君の手足にございますれば」
しかし、呂砲は郭図公則のわざとらしい追従を無視した。
「命令ではない。頼みだ。察してくれ」
「は……」
「上党へ行ってほしい。わしの使者として」
「上党……馬参に処分を伝える使者、でございますな」
肯く呂砲。
皇宮を見つめたまま、大きく息を吸った。
「馬参を第三軍団長の職から解く。征東将軍の位も返上させる。俸給も一年間、朝廷に献上させる。そして……」
一息に言うつもりだったが、一瞬、声が詰った。
「そして、将軍位を剥奪し、校尉に降格させる」
煌びやかな軍団長職から、一校尉へ。
取りようによっては、斬首をも上回る屈辱となる処分を、呂砲は口にした。


第二次となる業β攻めの各作戦の認可を受け、“機密漏洩”を犯した希代之への処分を告げられた郭図公則は、例によって恭しく拱手し、呂砲の前から辞去した。
下がりつつ、そっと振り返ってみる。
西の方角に立つ皇宮を見つめる呂砲の姿が、夕陽の中に浮かんでいた。
馬参に屈辱的な処罰を与え、希代之には一方的な処分を与える。
そして朝廷に対しては、受け入れがたい条件を提示する。
すべてにおいて、中途半端な決定しかできなかった、涼王・呂砲。
その両肩が、小刻みに揺れている。
泣いているようだった。



━━許昌、筆頭軍師府
なぜ、こんなことになってしまったのか。
何度も思い返してきた疑問を、再び口にする。
呂砲の漢朝への忠義を信じてやれなかった自分が悪いのか。
一方的に自分を罵倒した呂砲が悪いのか。
自分を捨石にした少府が悪いのか。
だが、希代之の心の中で、結論は出なかった。
どうでもいいこと。そんな気さえしている。
軍師としてのプライド。これまでの実績に対する矜持。
それを粉々にされた。
希代之にとって、朝見の間での呂砲の態度は、それ以上でもそれ以下でもなかった。


「殿……」
おそるおそる、という表現そのままに、護衛隊長が顔を出した。
「洛陽太守が参っております……面会を、と」
「郭図公則が?」
怪訝そうに顔を上げる希代之。
「追い払え。今は誰とも会いたくない」
「はっ、それが……洛陽太守は、殿下から殿の処分についての沙汰を受けてきた、と……」
処分。
その言葉に、希代之は舌打ちをした。
「ならば、通せ」
心配顔の護衛隊長に、希代之は投げやりに告げた。
「やつが私の落ちぶれた様を見たいというのなら、それでも良い……見せてやる」


「修正啄木鳥、戦象隊の大量投入、呂布への内通策。すべて、殿下は認可された」
希代之の私室に入ってきた郭図公則は、あいさつもせずそう告げながら、椅子に腰掛けた。
「修正啄木鳥がおぬしの策であること。戦象隊はおぬしの幕僚の策であること。いずれも事実を告げた」
「別におぬしの策と吹聴してもかまわなかったのだぞ」
希代之は皮肉っぽく言った。
「今となっては、どうでも良いことだ」
「らしくないな。筆頭軍師」
たしなめるように、郭図公則。
「殿下の気まぐれな性は、今に始まったことではあるまい? いちいち気に病むようなことか」
「おぬしにはわからんだろうよ」
そう言って希代之は、自分をなじっていた時の呂砲の目を思い出した。
呂砲は、希代之を裏切り者として見ていた。
だからこそ、あんな目で自分を睨んでいたのだ。
憎しみのこもった目で、自分を睨んでいたのだ。
「さあ、私への処分は何だ? さっさと言って、さっさと出て行け」
ほとんど開き直っている希代之に、郭図公則は珍しく、強い口調になった。
「やめんか。気持ちはわかるが、おぬし、すさみ過ぎだぞ」
「すさみ過ぎなど……」
妙に希代之のことを慮る郭図公則の態度に、子供のような気分になってきた。
普段、邪険に接している相手からの気遣いは、ある意味、常にいたわりを見せてくれる相手のそれよりも大きな効果をもたらす。
「朝廷の廷臣、仮王宮の諸官。そして……そして、おぬしの前で……ああも罵倒されたのだぞ…………荒れたくもなるわ」
「私とて、おぬしの目の前で、被告として糾弾されたことがあるではないか……これでお相子と考えろ」
そう言って、郭図公則は笑って見せた。
その笑顔は、希代之の胸にジンときた。
「用件を済ませろ。私の処分はどうなった?」
わざと乱暴に、希代之。
このままだと、本当に自分の心の底をぶちまけそうだった。
政敵相手に、そんな自分を晒すことだけは御免だった。
「謹慎だ。一応、無期限となっている」
「謹慎だと? 最低でも、筆頭軍師職の解任ぐらいはあるものと思っていたが」
「殿下は、そのおつもりだった」
「……」
「しかし、私が反対し、殿下にもわかっていただけた。感謝しろよ」
「なぜだ?」
反射的に希代之は、椅子から立ち上がっていた。
「なぜだ? おぬしからさような助けを受ける義理はないぞ?」
「義理がない、とは心外だな」
郭図公則は肩を竦めながら、希代之に座るよう促した。
「ともに七同志の一人に名を連ねる者ではないか。助け合うことのどこがおかしい」
「おぬしが私を助けるなど、我らのこれまでのいきさつからすれば、絶対にありえぬことではないか。怪しい上に、屈辱だ」
「まあ、建前を取り払うのなら、その通りだ。しかし、さすがの私も味方が欲しくなってな」
「気持ちが悪いな。おぬしがそんなことを言うと……どういうことだ?」
「その前に伝えておくことがある。馬参の処分が決定した。明日、殿下が皇上に奏上する」
「どうなった?」
自分の立場を一瞬忘れ、希代之は軍師の顔を取り戻した。
「軍団長職解任。征東将軍号の返上。校尉への降格。俸給を朝廷に献上。以上だ」
「校尉に降格……馬参隊はどうなる?」
「現状通りだ。当面馬参隊は、校尉が部隊長を務めるという形になる」
「そうか。それなら、馬参殿が名誉回復を為す余地はあるな」
「馬参隊を解散でもしたら、それこそやつの命を救った意味がない。朝廷に対して、これは最大限の譲歩だ」
最大限の譲歩。
その言葉に、希代之は腕組みをした。
将軍から一校尉に降格するという処分は、武門の士からすれば、かなり重いといえるが、洛陽焼き打ちの罪に対する処分としては、言うまでもなく極めて軽い。
「後任の軍団長は?」
「馬参に決めさせる、と殿下は仰せだ。鐘ヨウを推薦したのだが、歯牙にもかけられなかった……いずれにせよ、これらの処置に加え、金10万の賠償。これでもって、洛陽焼き打ち問題は終結だ」
「朝廷は飲むかな?」
「飲ませる。これから少府に会って、話を付けてくる」
「…………」
「そこで確認するわけだが、金10万の件、おぬし本当に少府に前もって告げていたのか? 賠償案の発案者であるおぬしが、それを朝廷の人間に漏らすなど、とても信じられぬ」
「少府に聞け。あの者のことなど、考えるだけでもいやだ」
「ふむ。やはり、少府の狂言というわけだな」
郭図公則はここで、ため息を吐いた。
「10年にも渡って自分を支えてきた股肱の釈明も聞かず、殿下は一方的におぬしに処罰を与えた、ということか」
「ほう? おぬしが殿下を批判するのは初めて見るな」
「ここで、『味方が欲しい』という先の話に戻るわけだ」
郭図公則は首を竦めてみせた。
「天下から騒乱を無くすには、まだまだ時を要することはわかっている。それでもここ最近、その先の未来における担保というものを考え始めたところでな。そんな矢先の今日、おぬしへの謹慎処分という事態が起こったわけだ」
担保。
その言葉で、希代之は郭図公則来訪の真意を察した。
「狡兎死して走狗煮られる、という」
郭図公則が言った。
「高鳥尽きて良弓しまわれ、敵国破れ謀臣滅ぶ、ともな。天下の半分を制圧しただけだというのに、殿下は挙兵以来の股肱たるおぬしを退けようとされた。しかも、冤罪で。おぬしの釈明を聞くこともなく」
「だから?」
「明日は我が身だ。考えたくもない未来を、考えたくもなる」
「だから?」
「あまり苛めるな。希代之」
郭図公則は微笑を浮かべた。
「これまで我らは、事あるごとに衝突を繰り返してきた。しかしそれは、互いに漢、涼を思うがゆえの対立であった……そのように考えてみようではないか、と提案するわけだ」
長年政敵同士だった相手からの、思わぬ呼びかけ。
希代之は戸惑いつつ、探りを入れる。
「言っておくが、私には私の信念があり、思いがある。おぬしの策や上程に、何でも迎合することはできない」
「それはかまわん。というより、そうであってもらわなければ困る。漢と涼のためにもな」
「……」
「しかし、おぬしは今日、煮られる走狗になりかけた。私はそれを救ったわけだが、我らが逆の立場となった時、今日を思い出してほしい、ということだ」
「私がおぬしを救う、か……考えたこともなかったが」
「おぬしの謹慎がなるべく早く解けるよう、私としても尽力する。だから、あまり自棄になるな……一番言いたかったのは、そのことだ」
「……異存はない」
希代之は肯いた。
呂砲の先ほどの目を思い出すにつけ、郭図公則の言う通りと思った。
それでも、すべてにおいて郭図公則の言いなりになるつもりは毛頭ない。
「ただし、それはまさに、最終手段だ」
希代之にもプライドがある。
手をかざして、希代之は郭図公則を制した。
「殿下の不興を買った互いを弁護する際、我らが相容れぬ間柄であったという事実こそが、殿下をお諌めするに大きな効果を持つ。よって、私とおぬしの間柄は、今後もこれまで通りだ。良いな?」
「筆頭軍師、ようやく調子が出てきたな」
郭図公則は笑った。
「それでよいだろう。毛嫌いしている相手を弁護する。その意味は大きい。頭に血が昇っていたとしても、それが殿下を冷静にさせるはずだ」
そう言って郭図公則は、スッと立ち上がった。
会見は終わり。希代之も立ち上がる。
決して互いに心を開き合ったわけではないが、拱手は士としての最低の礼儀。
「申し上げたいことはそれだけだ。筆頭軍師」
「確かに承った。洛陽太守」



━━許昌、少府私邸
「こんな夜更けの来訪など、不快極まりない」
苦虫を浮かべながら、少府は言った。
「それが歓迎すべからざる客となれば、尚のこと……最悪の気分だ」
「常識をわきまえぬ刻限の訪問、心よりお詫びいたします」
口だけ詫びつつ、郭図公則は言った。
「なれど、事は重大。このまま看過いたせば、大漢にとって災厄となるは必定。よって不躾とは承知しつつ、まずは参上した次第にございます」
席も勧めず、胡散臭そうに睨み付けている少府だったが、郭図公則はまったく頓着する様子も見せず、さながら部下が上司に接するような口調で言った。
「急ぎ、少府殿に申し上げたき儀がございます」
「手短にな」
赤龍鱗の茶をすすりつつ、少府。
「私は明日、早いのだ」
「まずは金10万の件。この案件について少府殿は先ほど、涼王殿下の御前で、さながら鎮軍将軍から相談を受けたかのような物言いをされました。あれは如何なる存念にございましょうや?」
「流れの中で口を衝いた言だ。存念と聞かれても答えようがないな」
「その件、鎮軍将軍は少府殿には伝えてはいない、と申しております」
「さてな。私は鎮軍将軍から聞いたと思っていたが?」
少府はしらばっくれた。
「しかし、鎮軍将軍がそう言われるのであれば、思い違いがあった、ということだろう。どちらが思い違いをしたのか、それは知らぬがな」
「思い違いで済ませるには、余りに大きな失態です。鎮軍将軍は涼王殿下より、無期限の謹慎処分を受けましたぞ」
「ほう、それは気の毒だな」
「鎮軍将軍にとっては、おっしゃる通り気の毒なことです。しかし、少府殿にとっては大きな損失です」
「ほう。それはどういうことか?」
「少府殿は人の心というものを何とお考えか。あれでもって、鎮軍将軍が如何ほどまでに傷ついたか、少府殿はおわかりになりませんか?」
「……」
郭図公則の言葉に、少府は若干動揺した。
謀の多い朝廷の空気を吸っていれば、人は他人を自分の目的を達成するための駒としか考えないようになる。
当然、他人の心情に思いやる余裕など、ない。
そしてそんなことは、今まで指摘されたことなどなかった。
「鎮軍将軍は、勤王の士です。大漢の復興を為すにあたり、彼の仁の力は絶対に必要となりましょう。しかし少府殿は、鎮軍将軍との信頼関係をお潰しになられた。鎮軍将軍はもはや、貴殿のお言葉には乗りません」
「……」
思わず少府は、うめき声を漏らした。
呂砲の前で希代之を貶める嘘を付いたのは、何が何でも馬参を処刑にするための方便――呂砲と希代之の離間策――だった。
しかし、馬参の処刑は難しいものとなり、かつ涼の中に存在する協力者を自ら放棄する結果となっている。
仮王宮を辞去して以来、ずっと頭に血が昇っていた少府だったが、ここで初めて、己の迂闊さに気付いた。
「鎮軍将軍に、書状を出すことをお勧めします」
考え込んでいる少府に、郭図公則は言った。
「もはや希代之は、少府殿から会見の申し出があったとしても、それを受けることはございますまい。御自身の勘違いと勇み足でもって、鎮軍将軍の名誉を傷つけたこと。すぐにでも謝罪なさいませ」
「謝罪?!」
少府は目を剥いた。
下賎の身から成り上がった男に対し、大漢の功臣に連なる者が頭を下げる。
少府の常識からすれば、それはありえないこと。
しかし、郭図公則は一歩も譲らなかった。
「失態に対して謝罪するは、士であるないに関わらず、当然の行為です。さもなくば、少府殿と鎮軍将軍の一致協力は二度とありえません。しかし、それで本当によろしいか? 彼の者の助力無くして、大漢の復興を為し得ると本気でお考えか?」
郭図公則の言うことは、一々もっともだった。
それでも、簡単に肯首するのははばかられた。
「だが」
悪戯を叱られた子供のように、少府は首を振った。
「仮に私が書状を送ったとして……鎮軍将軍は、それを受け入れるであろうか? 私にも矜持がある。もしも、鎮軍将軍が拒絶したのなら、私の……」
「少府殿」
郭図公則は、少府の言葉を強い口調で制した。
「事は、貴殿の面子ひとつに留まる問題ではないのですぞ。貴殿の面子。そして大漢の復興。少府殿にとって、優先すべきはどちらにございますや」
「そ……それはもちろん……大漢復興だ。決まっている」
「ならば、何を為すべきかはおわかりのはず。私の方からも、希代之に書状を送っておきます。少府殿は、深く詫びていた、と。そして、己の目指すべきことを成し遂げたいのであれば、大きな度量でもって少府殿の言を受け入れるべきだ、と」
「直接会って説得してはくれぬのか?」
「私も忙しい身でございましてな。これよりすぐ、上党へ向かわねばならないのです」
「あんな田舎へ何をしに?」
「涼王殿下が、馬参の処分を決定なさいました。使者として、それを馬参に通達する役目を仰せつかりました」
「決まったか! で、涼王殿は何と?」
少府は、先ほどの希代之とまったく同じ反応を示した。
ただし、郭図公則の返答に対する反応は、まったく別だった。
「校尉に降格だと! そんな処分でもって、帝都を灰にした罪を贖えると思うてか!」
「もちろん、金10万の賠償も処分の中には含まれておりますが?」
「誰が金のことを言っておる! 見損なうなよ、洛陽太守! たとえ金百万を貢がれようとも、金でもって道理を捨てる不義の輩は朝廷にはおらぬのだ!」
「ご立派なお考えです。しかし、少府殿のお考えを、廷臣すべてが共有しているとは思われない方が良いでしょう」
「なんだと!?」
「違う考え方というものは、それこそ人の数だけ存在するのです。信念も度が過ぎると、ただの思い込みになりますからな。それに」
郭図公則はチクリと皮肉をぶつけた。
「殿下の決定によって、朝廷はおおいに面目を保たれるではありませんか。何がご不満です?」
「馬鹿を申すな! 洛陽焼き打ちの罰が降格に過ぎぬようでは、漢朝の威光も地に落ちるわ!」
「少府殿。それは違いますぞ。馬参は軍団長であり、涼王殿下がもっとも頼みとする男です。その馬参を、軍団長職から解任し、さらには将軍位まで剥奪する。殿下にしてみれば、それこそ半身をもがれる想いの処置なのです。漢朝の威光を重んじるがゆえの、降格という辱め。そのことは、天下も承知しましょう」
「策師! 詭弁を弄すな!」
「詭弁ではなく、解釈、とお考えいただきたい。何より、先ほど仮王宮で申した通り、馬参を殺せば、涼全体が朝廷に対し、不穏な空気を色濃くいたしましょう。それは朝廷にとって、決して利とは申せません」
少府は渋面を作った。
確かにそれは、もっとも懸念すべき事柄だった。
「漢朝の威光を恐れるあまり、涼王は最大の股肱を辱めた……そう喧伝なさればよろしい。それで漢朝の威光は十分に保たれます。それに」
相変わらず立ったまま、郭図公則は続けた。
「金10万。不浄の金とお考えかもしれませんが、金は金です。何をするにも、やはり金は必要なのです。もちろん、漢朝復興にも」
「忠義は金では買えぬぞ」
「金に心惑わされぬ義士も、もちろんおりましょう。しかし、義士だけで事が成れるとの甘い見通しをお持ちならば、極めて危ういですな。それこそ、先ほど申した『思い込み』に類するものです」
「……」
「冷静にお考えあれ、少府殿。馬参に辱めを与え、いずれ機が訪れた際に必要となる金も手に入る。朝廷にとって、悪くない取り引きのはず。そして何より……」
郭図公則はニヤリと笑った。
「少府殿。貴殿は涼の中にまた一人、味方を得られたではございませんか」
「……まさか、おぬしのことを言っているのではあるまいな?」
「まさしく、私のことを申し上げております。それとも、この郭図公則では、役不足にございますかな?」
「何が味方だ。我が思いを頓挫させた分際で良く言うわ」
「ああすることが、朝廷にとって最大の利と考えたからこそです。少府殿のお考えが現実のものとなれば、漢朝は潰れましょう」
「なに……」
「味方であることの証明に、ある策を申し上げましょう。馬参ごときを殺しても、たいして漢朝の威光は上がりませんが、この策が成ったなら、朝廷の威信は名実ともに高まります」
そう言って郭図公則は、部屋の脇にある椅子に目を向けた。
「少し、話は長くなります。あれに座ってお話ししてもよろしいですかな?」


少府邸を出た郭図公則を、細作頭が出迎えた。
「閣下。馬の用意、できましてございます」
「よろしい。それでは上党へ向かう」
郭図公則の言葉に、細作頭は目を細めた。
「お休みを取られては、と存じますが」
「その方がいい、ということはわかっている。しかし」
歩きながら答える郭図公則の目は、輝いている。
「目が冴えているのだ……私としたことが、どうも興奮しているらしい」


呂砲。希代之。少府。
互いに微妙な距離を置く三者すべてに対し、郭図公則は楔を打ち込むことに成功した。
ちなみに、少府に金10万の賠償案件を漏らしたのは、郭図公則の手の者だった。



━━翌日、許昌。皇宮
剣を外し、靴を脱いだ呂砲が、小走りに身をかがめて駆けていく。
その先には、大漢皇帝がいる。
「天顔拝し奉り、恐悦至極に存じ上げます。謁見の願いを御受けいただき、臣砲、感謝の言葉もございません」
顔を伏せたままの呂砲に、皇帝が声をかけた。
「涼王、よくぞ参った。もう少し、近う。そこでは声が遠い」
「ははっ」
しずしずと近づく呂砲。
居並ぶ廷臣たちが、その様をじっと見守っている。
もちろん、少府もその中にいた。


呂砲の参内前、少府は皇帝に告げていた。
「涼王は、逆賊馬参の免罪を申し出るつもりにございます」
その言葉に、皇帝の顔は赤くなり、そして沈んだ。
「涼王は……朕の無念を察しなかったと申すか?」
「恐れながら、やはり涼王の忠義は偽りかと」
「そんな……それでは、朕はどうすればよいのだ?」
「涼王の申し出、まずは突っぱねなさいませ。その後、私から陛下に目で合図をいたしますので、その時に了承されますように」
「それでは、涼王が怒るのではないか? 最初から受けてはならぬのか?」


董卓、李カク・郭、そして曹操。
何人もの逆臣に辱められてきた皇帝は、命の危険すら感じたことも一度や二度ではない。
その恐怖が皇帝をして、呂砲を恐れさせる背景となっている。
しかし、それでは駄目なのだ。
真に漢朝を復興させるには、庇護者である呂砲に対しても、はっきりと物を言う毅然とした態度が必要なのだ。
少府は、皇帝に勇気を持ってほしかった。


「第三軍団長にして臣の股肱、馬参。この者がかつて、董卓の配下であり、さらには漢都洛陽を焼き払ったという事実を確認いたしました」
やはり顔を伏せたまま、呂砲は奏上した。
「確認が遅れ、さらにはその処分決定まで遅れたこと。陛下の御宸襟を悩まし奉り、万死の思いにございます。陛下にはなにとぞ、臣の懺悔の心をお察しいただければと存じます」
「涼王が忙しき身であることは、朕も承知している」
答える皇帝の顔は、強張っている。
「ここはただ、然るべき処置を罪人に与えたのならば、朕はそれで満足である」
少府の教えた通りに、皇帝は言葉を紡いだ。
「涼王、面を上げよ。涼王は罪人に対し、どのような処罰を与える存念か?」
「ははっ。申し上げます」
呂砲はゆっくりと顔を上げた。
しかし、皇帝の顔は見ていない。
「まずは臣の監督不行の咎を詫び、涼の国庫より金10万、朝廷に献上いたします。金でもって陛下のお心の痛みが癒されるとは、臣も露程も思ってはおりませぬが、賠償の意味も含め、どうぞお納めくださいませ」
「うむ。董卓が為した遷都と馬参が為した洛陽焼き打ち。これでもって、多くの者が被害を被った。これらの者への見舞いとして、有効に使わせてもらおう」
「御受けいただき、ありがたき幸せにございます……続きまして、馬参の処分にございますが」
ここで呂砲は、初めて皇帝の顔を見据えた。
「軍団長職を解き、征東将軍号を返上させ、さらに将軍位を剥奪して一校尉へ落とし、俸給一年分を朝廷に奉納させまする。どうか陛下、そのおおいなる御慈悲によって、愚かなる馬参をお許しくださいませ」
そう言って呂砲は、大理石の床に額を摩り付けた。
「死罪ではなかったのか?」
なるべくさりげない口調で、皇帝。
もちろんそれも、少府から告げられた通りのセリフだった。
「漢都を焼き払った大罪ゆえ、涼王は死罪を与えるであろうと、朕は思っていた」
「ははっ!」
呂砲が体を縮めた。
「陛下も御存知の通り、馬参は曹賊より洛陽を解放するに、その命を賭しました。軍団長の立場にありながら、率先して函谷関の城壁に上り、賊兵を切り捨て、城門突破の足がかりを築いたのでございます。どうか陛下、あの者が何を考え、そこまで危険を犯して洛陽解放にこだわったのか……その心の内をお考えくださいませ」
呂砲の言葉に、一気に熱が篭り始めたかのように思われたが、すぐにひそむような声になった。
「洛陽では14年前、何者をも恐れることなく、暴虐の限りを続けていた者がおりました……董卓にございます」
その固有名詞を耳にした皇帝は、ビクリと体を震わせた。
董卓。
漢朝にとって、そして皇帝にとって、災厄以外の何者でもない“極悪人”。
「董卓の性は、陛下もよくご承知のことと存じます。その董卓が長安遷都を宣言した時、これに反対した廷臣方はすべて殺され、かつ遷都は断行されました」
皇帝の目が、わずかに潤み始めた。
董卓が強行した遷都は、まさに漢朝衰亡を示す一大事だったのだ。
「死者を貶めることとなるやもしれませんが、どうか御傾聴ください。遷都に反対した廷臣方は、結果的にその命を散らしたばかりで、董卓の暴虐を止めることはできませんでした。董卓誅殺を為し、天下に正義を示されたのは、臥薪嘗胆の念を胸に、遷都に従った司徒の王允殿です。王允殿が一時とは申せ、不忠の行為に荷担したのは、最終的に陛下に忠たらんとしてのこと……」
呂砲の声に再び熱が入ってくる。
「王允殿の例を持ち出したるは、ひとえに陛下に察してほしいがゆえにございます。洛陽焼き打ちは言うまでもなく、大罪。しかし、そんな大罪を犯した者が、なぜゆえ洛陽解放に己の命を賭けたか……洛陽焼き打ちの暴挙に及んでから14年。馬参は己の罪を償う場を求め、生き恥を晒し、死に場所を求めていたのでございます……洛陽解放戦にて、馬参が鬼神の如き奮戦を見せたのは、まさにそのため。14年前に失われた、漢朝の忠臣としての矜持を取り戻すためだったのでございます」
ため息が漏れた。
そのため息を発した張本人は、カッと皇帝を見据えた。
「陛下っ!」
突如、大声。
予期せぬ叫び声に、皇帝も居並ぶ廷臣たちも、一様にビクリとした。
「陛下、なにとぞ! なにとぞ馬参をお許しくださいませ! あの者は、漢の忠臣たらんとして、臣の挙兵に従ってまいったのです! 洛陽解放というひとつの区切りをなし、陛下から征東将軍の位をかたじけのうし、ようやく漢の忠臣として、胸を張って正道を歩み始めたのでございます!」
そして、「ゴツッ」という鈍い音。
チリひとつ落ちていない大理石の床に、呂砲がその額を打ちつけていた。


「陛下っ! なにとぞ!」
顔を上げた呂砲。
その額は、大きく割れていた。
「大漢のために命を賭す意志ある者を、どうか死なせないでくださいませ! 馬参は決して逆臣ではございません! 漢の……陛下の忠臣にございます!」
再び、「ゴツッ」。
もう一度呂砲は、額を打ちつけた。
「なにとぞ、陛下!」
さらに大きく割れた呂砲の額。
おびただしい鮮血が顔を覆っている。
「どうか陛下っ……臣の股肱をお許しくださいませ! 臣に免じて、此度だけはどうか!……」
ゴツッ。
大理石の床も、真っ赤に染まり始めた。
「なにとぞ、陛下っ…………なにとぞ!」
また、「ゴツッ」。
呂砲の顔がどんどん血で赤くなっていくのに対し、皇帝の顔からはどんどん血の気が引き、青くなっていく。
もう一度自分の体を傷つけようとした呂砲は、ここで大きくよろめいた。
「なにとぞ…………陛下…………なにとぞ…………」
フラフラと上体を起こした呂砲は、五度額を割った。
しかし、力がない。
今度は鈍い音を発することなく、呂砲の四肢はだらしなく床に広がり、尻を突き上げる無様な姿となった。
両腕をついて何とか顔を上げた呂砲は、皇帝を見上げた。
顔中が赤い液体におおわれた呂砲だったが、目だけは爛々と異様な輝きを放っていた。
「陛下………………なにとぞ………………なにとぞ………………」
最後の力を振り絞るように、呂砲はさらに上体を上げた。
ようやく皇帝が声を発したのは、その時だった。
「もうよい! 涼王、もうよい!」
ピタリ、と呂砲の動きが止まった。
口を半開きにした呂砲の耳に、皇帝のわめき声が聞こえてきた。
「そちの言、馬参の忠義……わかった! わかったによって、もうよい!」
皇帝の目は、精神の均衡を失った者のように不安定に揺れていた。
「馬参の処分、涼王の言う通りに為せ! それで朕は満足である!」
惚けたような顔で皇帝の声を聞いていた呂砲は、ニヤリと笑った。
本人は喜びと感謝の笑みを浮かべたつもりだったのかもしれないが、見た者には「ニヤリ」としか映らなかった。
「ありがたき…………しあわ…………せ…………」
そのまま呂砲は、朝見の間の床に崩れ落ちた。


シーンとする朝見の間。
誰もが身動きもせず、ピクリとも動かない呂砲を見つめている。
最初に声を発したのは、やはり、少府だった。
「衛兵!」
少府の声は、妙によく響いた。
「何をしておるか! 涼王殿を別室にお連れせよ!」
慌てて5人の衛兵が駆け寄り、呂砲を担ぎ上げた。
衛兵たちの間から、呂砲の腕がダラリと垂れ下がった。
呂砲は、完全に失神していた。
運ばれていく呂砲を、少府は無感動に見送った。
呂砲は目的を達した。
それはつまり、少府が目的を達成できなかった、ということ。
しかし、そのことを無念とは思わなかった。
(涼王、好きにするがいい)
少府は心中につぶやく。
もはや少府にとって、馬参の命などどうでもよいこととなっている。
昨夜の郭図公則との会見が、少府の心に余裕を持たせていた。






呂 砲

郭図公則
  
希代之

少 府

細作頭
 
護衛隊長




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