「買っても買わなくても当らない」――ギャンブルの神よ。我に光を


競馬関係者及びファンなら、誰もが胸躍らせる日本ダービーは、まさに年に一度の祭典。
関係者なら、何としても勝ちたいダービー。
ファンなら、何としても取りたいダービー。
そして今年の日本ダービーは、皐月賞馬のネオユニヴァースが見事な差し切り勝ちを収め、二冠馬となった。
秋の菊花賞も勝利して、ナリタブライアン以来の三冠馬となれるのか。
つーか本当に菊花賞に出る意志が馬主にあるのか(フランスの凱旋門賞参戦の噂もあるようでして)。
そして、その年のダービー馬としては初の参戦となる宝塚記念で、世代最強馬から現役最強馬へと格上げなるか。
興味は尽きない。

で、わしの今年の日本ダービーの予想ですが、残念ながら外れてしまいました……と言ったら語弊がある。
正確に言うと、「このレース
外れてしまいました」である。
実はわし。昨年の宝塚記念から今年の安田記念までのほぼ一年、G1レースの予想を全て外しておりますアハハハハー。
しかし、金銭的損失はゼロである。
なぜなら、予想するばっかで馬券は一切買わないから。
見方を変えれば、「ざまーみれJRA! わしの金をてめえらにやってたまるかよ!」との負け惜しみを、一年間飽きることなく続けてるつーことになりますかな。

かつて車で日本一周旅行した時に、京都競馬場と東京競馬場へ行きました。
折りしも、京都では天皇賞(春)、東京ではNHKマイルカップと、競馬ファンならたまらないG1ウイークであり、初めて競馬場に足を踏み入れたわしは、それこそむさぼるようにして馬券を買いましたよ。
結論から言いますと、両競馬場に潜伏した3日間の収支は、マイナス7万円。
絶対当ててやる」と誓った天皇賞は、わしが愛した芦毛の逃亡者セイウンスカイが、何の足しにもならない3着止まり。
握り締めた馬券は、京都を訪れた記念になりました。良かったです。いや、良くない。
NHKマイルカップは、インターサクセスの複勝で勝負。
3着までには残らんかい!」という声援も虚しく、インターサクセスは6着。馬券はゴミ箱行き。
とにかく、「日本各地のおいしい料理を腹一杯楽しむ!」というささやかな野望は、思い出馬券の大量生産によって阻まれてしまった。グスン。

馬券を買った時は当らないのに、買わなかった時は当っている」とは、しばしば耳にするセリフだったりする。
わしにはそんな競馬ファンが羨ましく、かつ、眩しい。
なぜなら、わしは
「馬券を買おうが買うまいが、まったくちっとも全然これっぽっちも当らない」人だからである。
わしが住んでいる近辺に馬券売り場はないが、世の中便利になったもので、PATなる馬券購入機もある。
しかし、わしにはPATを買う気はさらさらない。
そんなもん購入してしまったら、それこそ週末ごとに金を捨てる羽目に陥るだけである。

なぜ当らないのだろう―。
競馬中継が終わった後、考え込むこともある。
競馬雑誌は定期購読している。レースも欠かさず見ている。新聞やネットで馬の状態のチェックも怠らず、血統にも(そこそこ)詳しくなった。何より、競馬に対する情熱なら、誰にも負けない自信が……少なくとも、会社内ではトップクラスのはず。
それなのになぜ……なぜなんだ……
ま、冷静に考えれば、「上記事項を継続しているのに馬券が当らん!」とブーブー言っている段階で、既に素人臭プンプンである。

自分の予想のパターンを反芻してみる。
わしの(脳内)購入馬券は、馬連とワイド、そして複勝の三つである。
馬連では、「連は外すまい」と考えられる馬を一頭選び出し、絞り込んだ数頭の馬をその軸馬に絡める。
んで、配当が高い組み合わせなら、馬連からワイドに切り変えて必中を期す。
複勝は、「人気は低いが、三着ならあるんちゃうか」と思われる馬を二、三頭ピックアップ。
以前、この
ささやかな複勝、ささやかな喜び作戦で、グラスワンダーの復活馬券(メジロブライトが2着だった有馬記念です)を取ったことがある。
わしの数少ない勝利馬券であり、ゆえに複勝とはわしの馬券哲学(ここ、笑うところ)の根幹を成しているといっても過言ではない。いや、過言だ。

で、そんな予想のもとに(脳内)購入したレースは、どんな結果となっているのか。
軸馬が着外。話になりませんな。ムハハハハー→馬連&ワイド
軸馬は間違ってなかったが、流す相手を間違っとるぞ→同じく馬連&ワイド
人気のない馬ってのは、やっぱそれなりの理由があるってことさ→複勝
これを際限なく繰り返している。

先日の日本ダービーは、ちゃんとネオユニヴァースを軸馬にしていた。
もう一頭の人気馬サクラプレジデントにしても、ちゃんと切っていた。
内馬場が荒れてるってのは知ってたし、カッチーがG1勝つなんて全然想像できんかったから。
しかし、外れた。

まず、馬連&ワイド。
エイシンチャンプは全然伸びず、豊マジックも掲示板が精一杯、「三代連続無敗のダービー馬」誕生を期待したトウカイテイオーの息子に至っては、ドンジリ。
次に、わしにささやかな喜びを与えてくれるはずの複勝。
マヤノトップガンの息子は、人気から考えれば大健闘ではあったが、掲示板の一歩手前まで。「穴男」の佐藤はこういう時に限って普通のジョッキー。デザーモの豪腕は炸裂しなかった。
以上、日本ダービーわしの予想馬券壊滅の模様をお伝えしました。

今年の日本ダービー2着馬は、ゼンノロブロイ。
荻沢厩舎、青葉賞勝ち馬……去年のシンボリクリスエスとまったく同じパターンです。
萩沢調教師、あんたやっぱりすごいよ。
シンボリクリスエスの今年のローテには多いに憤慨したものだが、調教師としてはやはり一流だ。
今後、ゼンノロブロイがシンボリクリスエスと肩を並べる強豪になるかも……いや、余計なことは言わん方がいいか。
なお、3着はザッツブレンディ。
アンカツマジックの存在を忘れとった。

「自分には才能がない。これっぽっちもない。ナッシングである」
そう認めることは、非常につらい。
わしの場合、なまじ華々しい形でギャンブル世界にデビューしただけに(高校生の時。パチンコだった)、それを認めるには並々ならぬ努力を要した。
しかし、わしは頑張った。
「おい、有馬だぞ。本当に買わんのか?」
誘惑してくる上司を振り切り、ドランカーだったわしは、社会復帰に成功した。
その効果はテキメンに表れた。
救いようのないマイナス収支だったわしの財政状況は、「もちっと節制すればなんとかなるかもしんない」というところまで劇的に回復した。
財政支出を大幅に押えたこの一大英断は、「わし的構造改革」とも称せられるべきものとなったのである。
大袈裟ですか? そうですね。そう思います。

現在のわしは、競馬を純粋に「スポーツ」として楽しんでいる。
とはいえ、「ちょっとだけ買おっかな」という誘惑に今でも駆られたりする事実は、否定しようもない。
特に、今度の宝塚記念。
その年のダービー馬が出走するなど前代未聞であり、ましてやネオユニヴァースはただのダービー馬にあらず。正真正銘の二冠馬である。
これに昨年の年度代表馬シンボリクリスエス、安田記念で鮮やかに復活したG1六勝馬のアグネスデジタル、笑っちゃうほどズブい天皇賞勝ち馬ヒシミラクル、昨年のウィナー・ダンツフレームなど、すんげー豪華メンバーが加わった“春の総決算”。
同じファン投票を中心に出走馬が決まる有馬記念に比べ、宝塚記念はイマイチ日陰なG1だったが、これほどメンバーのそろうなんて実はすごいことなんです。
これ当てたら嬉しいだろうなぁ。儲かるかどうかは別として。
じっくりと馬柱を見極め、「絶対いける!」と確信したら……場合によっちゃ、禁を破るかもしれんです。


※本文は宝塚記念の1週間ほど前にまとめたものです。

                       

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