フランス国鉄

2008/1/12 作成
2010/6/3 更新

総論

ここで紹介するのは、フランス国鉄の車両称号である。 フランスは鉄道発明時には既に統一国家であったが、鉄道発祥の地英国と同じく、 民間資本による私鉄が敷設され、国内主要幹線も私鉄によって敷設された。 民営の場合、よく見られるようにやがて資本力に勝る“大手私鉄”が中小私鉄を合併し、 第2次世界大戦直前の段階では PLM(パリリヨン地中海鉄道)、PO(パリオルレアン鉄道)、東部鉄道、北部鉄道など が主要鉄道となった。 (今日のパリのターミナルは、これらの鉄道のパリ駅であり、 東駅や北駅は、それぞれ東部鉄道、北部鉄道の起点である。)

第2次世界大戦を契機に、これら主要幹線が国家管理下で統一的に運営されることとなり、 フランス国鉄(SNCF:Socie'te' Nationale des Chemins de fer Francais)が発足する。

ここでは、SNCFの車両形式称号を紹介するが、 主として動力車について紹介する。

動力車

日本では動軸数が形式の基本となっているが、 蒸気機関車の場合、先輪軸・従輪軸を含めた軸配置が機関車の基本性能や用途と密接に関連していたため、 これを基準に形式名を決めた国も多い(南満州鉄道など)。
SNCFにもその思想が強く表れている。

蒸気機関車

先輪軸、動軸、従輪軸の順に、軸数を数字で列挙する。 関節式の場合は、動軸は台車ごとに表記する可能性があるが未確認。
タンク式の場合は、数字の直後にTを付ける。
それに続いて、登場順にA,B,C…とアルファベット1文字を付し、全体で形式名とする。
先輪軸か従輪軸がない場合には0を記す。

例えば、パシフィック軸配置(日本だとC59など)の第1形式ならば“231A”となり、 動軸4, 先軸従軸各1のタンク機の第2形式ならば“141TB”などとなる。

電気機関車

先輪軸、動軸、従輪軸の順に、軸数を列挙する。 ただし、動軸は台車単位とし、軸数を日本式にA,B,C…で表す。
先輪軸や従輪軸がない場合には、記述を省略する。 これに続いて、ハイフンと以下の分類による数字の形式が続く。
数値範囲意味
0000〜9999直流(1500V)
10000〜19999交流(50Hz, 25kV)
20000〜29999交直両用(DC1500V & 50Hz,25kV)
30000〜39999複周波数用(50Hz,25kV & 16 2/3Hz,15kV)
40000〜499994電流用(DC1500V & DC3000V & 50Hz,25kV & 16 2/3Hz,15kV)

例えば、日本のEF58と同一軸配置ならば“2CC2”となり、EF65と同一軸配置ならば“BBB”となる。
TEE牽引で有名なげんこつ形機関車CC-40100は、先従輪がなしの3軸台車×2であり、4電流方式である。

内燃機関車

蒸気機関車と同じ方式で軸配置を表記し、 続いて機関方式のアルファベット1文字を付し、さらに登場順のアルファベットを付す。 動軸は台車の区分とは無関係に1両ごとに合計して数える。
機関方式と記号の対応は以下の通り
記号意味
Dディーゼル機関
Gガスタービン機関

例えば、日本のDD51と同一軸配置ならば“040-D”となり、DE10と同一軸配置ならば“050-D”となる。

電車

アルファベット1〜2文字と4〜5桁の数字で構成される。

アルファベットの意味は以下の通り
記号意味
Z電動車(制御電動車と中間電動車の区別はない)
ZS制御車
ZR付随車

気動車

アルファベット1〜2文字と4桁の数字で構成される。

アルファベットの意味は以下の通り
記号意味
X動車
XS制御車
XR付随車

参考資料)
写真で楽しむ世界の鉄道 ヨーロッパ1
鉄道模型趣味 No.809(2010/6)

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