カナ部の構造用途を表す部分(カナ記号用途部と仮称)と 数字部分とがセットで形式であるとする立場なので、 いずれかに相違する部分があれば、別形式として、重複を許すが、 この際に重量部は重複判断には用いない。 例えば、ナハ10とナハネ10とは重複しないと考えるため、共に実在するが、 ナハ10とオハ10とは重複と考えるため、後者は存在しない。
JR東日本のある時期以降の車両のみ、数字の先頭にEが付くが、 それを除くと国鉄時代の基本を継承している。 ただし、重複に関しては重量部も含めて考えないと重複形式になるものや、 番号自体完全に一致してしまうものが発生している。
なお、以下の記述の一部は明文化された規約に基づいておらず 筆者の推測によるものが含まれる。
記号 | 重量 | 推定される語源 |
---|---|---|
コ | 22.5t未満 | 「小型」から? |
ホ | 22.5〜27.5t | ボギー車から? |
ナ | 27.5〜32.5t | 「中型」の「中=ナカ」から? |
オ | 32.5〜37.5t | 「大型」から? |
ス | 37.5〜42.5t | 鋼製車両の「steel」から? |
マ | 42.5〜47.5t | 大質量の「massive」から? |
カ | 47.5t以上 | 超過の「過」から? |
カナ記号用途部は私の見解では以下のように細分類できる。
優先順位 | 分類 | 記号 | 仕様内容 | 推定語源 |
---|---|---|---|---|
1 | 寝台 | イネ | 1等寝台車(→区分廃止) | イロハ順+寝る |
ロネ | 2等寝台車(→1等寝台車→A寝台車) | |||
ハネ | 3等寝台車(→2等寝台車→B寝台車) | |||
2 | 座席 | イ | 1等座席車(→区分廃止) | イロハ順 |
ロ | 2等座席車(→1等座席車→グリーン車) | |||
ハ | 3等座席車(→2等座席車→普通車) | |||
ミ | 米軍用客車(→占領時一時期のみ) | 軍用(ミリタリー)の頭文字 | ||
3 | 接客 | シ | 食堂車、ビュッフェ車 | 食堂 |
テ | 展望車 | 展望 | ||
4 | 郵便 | ユ | 郵便車 | 郵便 |
5 | 荷物 | ニ | 荷物車 | 荷物 |
6 | 業務 | ヤ | 職用車 | 役職 |
エ | 救援車 | 援助 | ||
ヌ | 暖房車 | 温(ぬく)める | ||
ル | 配給車 | 配って回る | ||
7 | 車掌 | フ | 緩急車 | ブレーキ付き |
仕様に該当するものがある場合は、この順に記号を並べる。 例えば、「マロネロ」「スイロネフ」「オハユニ」などとなる。 上の表での同一分類内では寝台・座席が優等順ということは確定しているが、 それ以外は、実例がないため判断できない。
JRになってから、機関車制御機能が付いた客車には電車の制御車同様、「ク」を 付するものが発生した(オクハテ)。この場合、「ク」はカナ記号用途部の先頭に 割り付けられている。
実例としては、 マロネロ(2等寝台2等座席合造車)、オロハネ(A・B寝台合造車)、 オハユニ(普通郵便荷物合造車)、オハネフ(緩急室付きB寝台車)などがある。
番号 | ボギー形式 | 車種 |
---|---|---|
5000〜 | 2軸ボギー | 特別車、寝台車、食堂車 |
5100〜 | 1・2等車 | |
5200〜 | 2等車、2等緩急車 | |
5700〜 | 2・3等車 | |
6000〜 | 1等病客車、2等病客車 | |
6100〜 | 電車 | |
6400〜 | 電車 | |
6500〜 | 3等車 | |
7400〜 | 3等緩急車 | |
8000〜 | 3等郵便車、3等郵便緩急車 | |
8200〜 | 3等郵便荷物車 | |
8300〜 | 3等荷物車 | |
8500〜 | 郵便車、郵便緩急車、郵便荷物車 | |
8800〜 | 荷物車 | |
9000〜 | 3軸ボギー車 | 特別車、寝台車、食堂車など |
9200〜 | 2等食堂車、1等車、2等車、1・2等車 | |
9300〜 | 2等車、2等緩急車 | |
9400〜 | 2・3等車、2・3等緩急車 | |
9500〜 | 3等車、3等緩急車 | |
9700〜 | 3等郵便車、3等郵便緩急車 | |
9900〜 | 郵便荷物車、荷物車 | |
10000〜 | 1等寝台車、2等寝台車、食堂車 |
明治44年1月公布「車両称号規程」による。
基本型客車のみ対象で、それ以前製造のものは1〜4999に収められたらしい。
台車の種類で大分類した後、客車の用途区分で区分けしていた。
後に、病客車・電車以外は番号が不足したため、
10000を加算した値範囲も使用した。
番号 | 種別 |
---|---|
1〜19999 | 小型木造車 |
20000〜29999 | 大型木造車 |
30000〜99999 | 半鋼製車、鋼製車 |
上記の中での順番は基本的には登場順。
使用している台車の種類で以下のように分類していた。
上記の中での順番は基本的には登場順。
使用している台車の種類で以下のように分類していた。
車両番号部の数値を大きく飛ばすことで形式に準ずる区別を行う、 いわゆる、区分番台も併用されているが、 統一的に使われているのは、以下の通り。
900 | 試作車 |
2000 | 蒸気暖房から電気暖房への改造車(電暖改造車) (最初から電気暖房だった形式はのぞく) |
客車は原則として、自在に編成を組むことができるので、 複数の形式をまとめる「系列」の概念が薄いが、 20系以降の固定編成設計の車両や、 外観に影響する基本設計が共通していると思われるものは、 「系列」と見なすことができる。 実際に、混結の不可と関係なく、10系などと呼ばれることも多い。 その具体例についてはここを参照のこと。