党議拘束は止めるべきだ!

 日本の国会制度での最大の問題は、各党が党議拘束を実施していることだ。 こんな国は、世界でも珍しい。党議拘束とは「政党の会議で決定した方針 には、議員個人が反対であっても、それに従って国会での投票をする」ということ。 つまり、「国会議員個人はまともな判断などできっこないから、党内で 決めたことにしたがってもらおう」ということじゃないか。全体主義体制も 甚だしい、このような慣行が罷り通っているところがおかしい。
 最近、民主党が「党議拘束廃止」を打ち出しているそうだが、これが まともな政治家のいうことだろう。「党議拘束」を認めることで民友連統一 新党を作ろうというのならば、体制的には、失敗した「新進党」と 何ら変わることがないではないか。日本共産党が犬猿の仲だった、 ソビエト共産党体制と同じと言ってもよいだろう。
 冷静に考えてみれば、「党議拘束がある2大政党制」体制下の国会など 茶番である。多数党の党議が必ず国会で通るのだから、総選挙の後は 与党の党議だけで十分で国会は不要になってしまう。私は「2大政党制」が 理想だとは思わないが、それを目指すというのならば、「党議拘束の廃止」は 必須要項だ。
 米国でも英国でも、国会議員は自分の意見で党議に反する投票をすることが できるからこそ、個別に議員を切り崩す「ロビー活動」ができるのだ。 ハリウッド映画での国会議員に関係する描写をみてみたまえ。 (The Americal Presidentでも、主人公のロビイストは、議員1人1人に 電話で説得をかけている。党議拘束があるなら、「党幹部」を説得すれば 十分であろう。)
 党議拘束こそ、日本民主主義最大の癌だ。それを認識している民主党は偉い。 菅直人には、この一線だけは死守して欲しい。

 と、この文章を書いたのは、1998年3月のこと。 結局、民主党は太陽党と合流する条件として党議拘束を受け入れてしまった。 日本の保守主流が標榜する米国型民主主義とも矛盾する、この「代議士は 自分で判断して国会で投票するだけの能力がない」といわんばかりの 悪癖を止められる政治家は出て来ないのだろうか。 それとも、やっぱり、そんな代議士ばかりということなのか。 だとすると、トホホだとしかいえないなぁ。