半田利弘の政治提言:国会改革私案
- 議会制度:国会は2院制を維持すべきである。
ただし、衆議院・参議院の立場は現状とはずいぶん異なる。
即ち、総理大臣任命権など行政の人事権は衆議院議決優先とする。
立法権は、衆議院が先行審議するが、可決しても参議院で否決されれば
現在のように差し戻さず即座に廃案となる。これは、法案は1段はスクリーニング
をすべきであるとの哲学による。内閣の国会解散権は衆議院・参議院ともに
及ぶが、各院で内閣不信任が可決された場合に、それぞれに独立に成立する。
- 選挙制度(衆議院):全国1区の大選挙区制とする。これにより1票の格差は
自動的になくなる。また、全国の人が賛成しかねる候補が地元利益だけで当選する
という弊害も防げる。交通・通信が発達した現代において全国1区は
明治期の選挙区の大きさと大差ないと思われるからである。
- 選挙制度(参議院):全国都道府県ごとに1名の定員とする。また、これとは
独立に政令指定都市には1名の定員を置く(政令指定都市は都市人口が国民全体の
100分の1になったら自動的に指定されるようにする)。ただし、投票権は、
居住地域に係わらず全国どこからでも、どの候補者にも1票だけ投票できる。
つまり、どんなに得票が少なくても、各選挙区からは1名だけは当選できるよう
にする。
- 追加のアイディア
- グループ立候補制度:これは、複数の自然人からなる1名の
「立候補人」を認めるというもの。10名くらいを上限とする。議会での権限や
経費・給与は1名分しか認めない。これによって、就職保証の観点や自己能力で
1名だけでは立候補を躊躇するような人にも政治参加の機会を与えるものである。
(もともとは、先日の選挙の「コスタリカ方式」に対する面当てから思い付いた。)
例えば、7人で立候補すれば週休1日ずつで、これまでの仕事を継続したままで
議員が行なえる。仲たがいして分裂した場合は、「グループ議員」が「死亡」した
ものと考え、全権現を失う。
- 年令別選挙区制度:これは、近田義広氏のアイディア。
現在の選挙区は地域別で利害が一致するという哲学から地域別になっている。
しかし、歴史的に見れば、身分制が厳しかった当時のヨーロッパでは、
身分により選出枠が異なっていた。これは身分ごとの利害一致が大きかったことの
反映と考えてもよかろう。とすれば、現代社会において、年齢ごとの利害格差が
大きいことは見逃せないはずだ。健康保険や老人問題、若者の問題などを
考えると、地域ではなく年齢で選挙区を分けてもよいはずである。ただし、
この場合、年齢というのは立候補者のことではなく、投票者のことである。
すなわち、年齢を10歳ごとに区分し、「20歳区」(20歳代の人しか投票できない)、
「30歳区」「40歳区」「50歳区」「60歳区」「70歳区」などと分けるのである。
これによって「若者向けの施策を優先する候補者」も「老人福祉問題に重点をおく
候補者」も、それぞれアピールする世代に絞った主張を公約として掲げることが
可能である。
選挙区格差の問題は生じるので先手をうって、国民の年齢構成によって
各選挙区の定数枠は、国政調査ごとに、機械的に比例配分することに
最初から法律で規定してしまうことが必要だろう。