半田利弘のSF感想:宇宙英雄物語

 角川騒動で休刊になった「コミックコンプ」に後数回を残して連載していた、 そして、2年以上の間を空けて「ウルトラジャンプ」で連載再開した(既に 完結!)漫画です。そういう経緯なので単行本も途中になったままだった のですが、第1巻から集英社より発売されましたので、全部読むことができる ようになりました。ちなみに、第4巻辺りからは以前の角川版とは書き換えた 部分が増えます。(第1巻でも冒頭が書き変わっていますが、私は、ここだけは 角川版のほうがいいな)。連載当時とも違うようです。
 で、ストーリーは、宇宙を舞台にしたどたばたラブコメですが、作者が 古いSF小説のマニアらしく、古典的スペオペ小説ねたがテンコ盛りです。 基本は「キャプテンフューチャー」それもかつてNHKでやっていたアニメ版 なのですが、それ以外のねたも続々出てきます。
 特にシリーズの後半では、「並行宇宙」へジャンプし、そこでは、 通常の物理法則のほかに「魔法力」が有効という設定になっていて、 太陽系を舞台にした過去のSFが説得力を失ってしまった設定が現代でも復活できる という構造になっています。とはいえ、この「魔法力」も最後には、「現代SF的 説明(というより言い訳?)」で落ちが付いています。この辺りは「プラクティス エフェクト(早川文庫)」の影響があるのかも知れません。
 現代の日本の漫画ですから、当然、「美少女キャラ」ありです。 しかも、ほとんどが性格歪んでいます。特にアーシア姫とウルト司祭が双璧です。 というわけで、こういうのが好きな人には超お勧めです。  なお、この設定を引き継いだ「続編」が「ウルトラジャンプ」に連載されます。