半田利弘のSF感想:ファウンデーションと地球
アイザック・アシモフ著の銀河帝国シリーズ第5作です。
話は前作の「ファウンデーションの彼方へ」の最終頁の翌日辺りから
始まります。したがって、シリーズを通読してから読むべきです。私が
大学院生の頃、原書が発表され、海外出張の際に見つけたペーパバックを
読もうとして、内容がちっともわからなかったのですが、それは、
当時、「ファウンデーションの彼方へ」を未読だったためもあるようです。
(「本当は、お前の英語力がないからだろう」って、そうですね。)
復活ファウンデーションシリーズでのメインテーマである地球探しに
ケリがつきます。主人公は段々地球に近づいていくのですが、その時の手掛かりに
アシモフが太陽系の特徴と思っていることが、いくつか提示されています。
月と土星が特徴となっているのですが、特に月が地球固有であろうという予想は
私も賛成です。明示していませんが、昨今では、地球に生命が誕生するのに
月が重要な役割を果たしているのではないかという説があり、アシモフもそれに
賛成なのではと思います。私自身は、さらに「知的生命」が発生するとか
宇宙文明が発展するうえでも月は重大な地位を占めているのではないかと
思っています。
シリーズとしてはロボットシリーズも受けているので、ロボットシリーズに
出てくる固有名詞が同じ設定の元でいくつか登場します。私はロボットシリーズは
あまり読んでいないのですが、こちらも読んでから、本書を読むと読後感が
違うかも知れませんね。
最後のシーンは、シリーズの続編がでそうな感じの終わり方でした。
でも、アシモフも鬼籍入りしていますので、望むべくもありません。
あと数十年くらい経つと、勇気あるSF作家が、続編を書くかも知れませんね。