私的な「お名まX」!

前書き

 人気TV番組「笑っていいとも」で以前放送されていたコーナーで 「お名まエックス」というのがあった(多分、プロジェクトXから もじっての命名だろう)。 事物の有名な名称として提案・提唱されながら採用に至らなかったものを 取り上げるコーナーである。

ここでは、同様に、採用されなかったが私および私の家族が 考案した固有名詞・キャッチフレーズを紹介したい。

これらの中には、公式に応募したが採用されなかったものもあれば、 応募せずに勝手に個人的に気に入っているものもある。 我が家のネーミングセンスの一端として、ご笑覧ください。

過去には公式にはそういっていなかったのに、巷で広まってしまった結果、 最終的には公式愛称として採用されてしまったという例も多数ある (「国電」とか)ので、「公式名称よりもいい!」と気に入った方がいたら、 私的に愛用いただければ幸いである。


恥ずかしい一覧表



シュットランカード

巷で、「パスネット」と呼ばれている関東の鉄軌道20事業体が使用している 共通プリペードカードの名称。「スルッと関西」や「イオカード」に対抗して 関東で導入したものといえばわかりやすいかも。(公募の際の例として 「スルッと関東」と書いてあったのは笑えた。)

前半の「シュット」は、通用する地域である「首都圏」と「シュッと 改札を通れる」という意味との掛詞になっている。 後半のランは英語で「走る(run)」の意味。 さらに、「トラン(train)」はフランス語で「列車」の意味になっている。

これだけ掛けていて、かつ、語呂も良いので、勇んで応募したのだが、 採用されなかった。

正式採用された「パスネット」は窓口で購入する際に「バス券?」と確認されるほど 誤認されやすく、とても、「シュットランカード」よりよいとは思えないのだが…。

「都内バス共通カード」が「バスネットカード」とか愛称を決めたら、笑えるだろう。


地下鉄十二社(じゅうにそう)線

巷で「大江戸線」と呼ばれているもの。

元々、都市計画12号線に対応する地下鉄として、東京都が建設運営している 「都営地下鉄12号線」が環状部開業に際して付けた愛称。

公募では「地下鉄山手線」などの愛称が上位を占めていたものを、 当時の都知事、石原慎太郎の一声で決定されたのが、現在の「大江戸線」。 路線のサービスエリアが「江戸」地区よりずっと外側だという批判が、 本当に江戸を知っているものから挙げられたが、結局、そのまま採用されてしまった。 (ちなみに、石原慎太郎は神奈川出身であって江戸っ子とは逆立ちしてもいえない。 なにしろ、私の高校の先輩である。:-P)

本愛称は、元々、都市計画12号線であることと、 (結局、「西新宿5丁目(清水橋)」となってしまったが)経由地に 「十二社(じゅうにそう)」があったことから付けた愛称。 思いついた時期が遅く、公募には応募できなかったが、かなりマニアックなので たとえ間に合ったとしても、上位に来るとは到底思えない愛称である。

「十二社」の地名がネガティブイメージ(理由はお年寄りに聞きましょう) の地名であることも、共感を覚えないかも知れないが、 都市計画12号線であることを考えると駄洒落として捨てがたいと思うのだが (駄洒落は、江戸っ子、そして日本人の「心の原典!」)。

ちなみに東京地区での都市計画路線名と現在の愛称名の対応は以下の通り。
ここに示した「ラインカラー」は案内板や公式路線図や車体塗色で 使用されている色である。

注:案内板では、営団は○(輪)、都営は□の○抜きを用いるのが通例
路線番号路線愛称名ラインカラー
1号線都営浅草線濃桃○■
2号線営団丸の内線○●
3号線営団日比谷線銀/灰○●
4号線営団銀座線濃黄○●
5号線営団東西線水色○●
6号線都営三田線濃青○■
7号線営団南北線青緑○●
8号線営団千代田線○●
9号線営団有楽町線金/レモン黄○●
10号線都営新宿線黄緑○●
11号線営団半蔵門線○●
12号線都営大江戸線江戸紫○■
13号線営団有楽町快速線○●

このように路線で色を公式に決めたのは、国鉄の通勤路線(中央線=オレンジ、 山手線=黄色(初期)→黄緑、京浜東北線=空色、総武線・中央緩行線=黄色、 常磐線=青緑など)が世界初で、地下鉄では上記(営団+都営)が世界初。

2002年夏にパリへ行って路線図を見たら、パリのメトロでも路線色表記統一が なされたらしいが、確か、15年前には不統一だったはず。
また、米国ボストン地下鉄では、15年以上前から、路線名が red line, blue line, green lineだったので、必然的にその色が使われていたが…。

全然関係ないが、私の出身高校では、学年縦断で組ごとに色分けがあり、1976年時点では 以下の色分けとなっていた。
組系列学年クラス
1組11,21,31組
2組12,22,32組白□
3組13,23,33組
4組14,24,34組
5組15,25,35組黒■
6組16,26,36組
7組17,27,37組
8組18,28,38組
9組19,29,39組


とかね

日本道路公団が導入を図っているものの、ちっとも普及しない 電子通行料徴収システム。正式には“Electric Toll Correcting system (通行料金電子徴収システム)”、略してETCという。

このシステムは料金所通行時に電波で通行情報を交換し、規定の 通行料金をクレジットカード決済するもの。このため、 料金所で停車する必要がなくなるというのがウリ。 そこで、“とかね”は「止まらずにカードでね。」の略と なっている。 Etcは英語ではもちろん、“などなど”の意味なので それと掛詞になっている。

これによって料金所渋滞がなくなるというのだが、 料金所渋滞が解消したら、今度は出口渋滞が起こるだけだろう と私は予想するのだが。

それにそもそも“高速自動車国道”なのだから、 通行料金を徴収すること自体を止めればいいと思うのだけれどね。


ミーバス

巷で「三鷹シティーバス」と呼ばれているもの。 地元では車体色から「赤バス」とも呼ばれているようだが、 戦前の東京都バスが車体色から「青バス」と称されていたことを 知っている世代の命名か?

三鷹市が、隣接する武蔵野市で「ムーバス」が成功したのに刺激されて作った、 民間委託運行小規模路線バス。 三鷹市の場合、業務委託は小田急バスに対して行っている。 ただし、武蔵野市がバス停間隔の短縮・新路線の設定以外に、 運賃100円としたのに対して、三鷹は民営バスと同じ210円に設定。 これでは効果が上がらないのは当然か、2002年には路線を変更して 民営バス路線との乗り換えを可能にした上で縮小方向となった。

「ムーバス」は「武蔵野市のバス」と「move us」の掛詞だそうだ。 それに対抗するなら(しょせん、まねしたのならとも云う) 「ミーバス」としたらどうかと思うのだが、いかがだろうか。

もちろん、「三鷹市のバス」と「mi bus」の掛詞。 ここで「mi」はスペイン語で「私の」という意味(英語のmy)。 まあ、厳密に言えば、バスはスペイン語では「autobus(アウトブス)」だし、 名詞の格や性があるので「mi」でよいのか自信がないけど…。

ああ、三鷹市と武蔵野市とが合併した暁には「ムーミーんバス」という オチも付きます(笑)。

ちなみに、三鷹駅から「ジブリ美術館」へ行く「mi bus」は、 塗装だけでも「猫ばす」にすべきだと思うのは私だけではないはず!


そりゃーそうさ、さみーそさぁ

数年前の米国大リーグのHR王、サミーソサーにちなんだ駄洒落。 深い意味はない。

客電(かくでん)

結局、滅んでしまった「E電」の代わりに考えた名称。

「JR東日本」の正式社名が「東日本旅客鉄道株式会社」というところから 付けた愛称。「院電」が「鉄道院電車」、「省線」が「鉄道省線」、 「国電」が「日本国有鉄道電車」という伝統に基づいて考えた。 過去の例と、語呂的にも近いところがポイントである。

公募の10位近い下位得票からE電を選んだ「選考委員会(代表:小林亜星)」の センスも素晴らしい(皮肉)が、得票上位が「東電」、「日電」というのでは 「東京電力」や「NEC日本電気」の関係者も浮かばれまい。

それ以外の上位には「首都電」というのもあった。「シュットランカード」と 共通するセンスがあったとしたら評価すべきか。 大時代的な「帝都電車」略して「帝電(ていでん)」というのは上位入選しなかった けど、採用されていたら笑えたかも。「おい、またテイデンかよ!」とかね。 (ちなみに、現在の京王電鉄井の頭線は、開通時には帝都電鉄線でした。 「テイデン」と呼ばれていたか、興味あるところ。)


だいだい線

巷で「京浜東北根岸線」と呼ばれているJRの路線。

区間の両端に当たる「大宮」と「大船」の頭文字を取って「大々線」と勝手に命名。 ラインカラーが空色なのに!という皮肉な愛称でもある。

元来、この国電路線は、「京浜電車線」と「東北電車線」とを直通することから 「京浜東北線」と呼ばれているのだが、磯子以南を大船まで延長した際に、 桜木町-大船間が「根岸線」とされていたことから、それも連結して 「京浜東北根岸線」と呼ぶようになった。
しかし、これではあまりに長すぎるので、国鉄で公募したのだが、 愛称が定まらないまま、「根岸」が省略されるようになって今日に至っているようだ。


ぷす

USBメモリーのこと。PSUと綴る。 “Portable Storage with USB port”の略。
というのは建前で、USBポートに「ぷすっ」と挿して使用するからである。 国立天文台の某部署では密かに広まりつつあるらしい。

こしひかり、ささにしき

上越新幹線、東北新幹線の最速列車の愛称名。

これは我が家で考えた名称ではないですが、是非、紹介したいですね。 実際、投票上位となったとか。

東海道新幹線が「ひかり」なら、上越新幹線、つまり「越後行き」なら「こしひかり」 というネーミングセンス。それに対応して、東北新幹線なら「ささにしき」という ことに。

実際には「あさひ」「やまびこ」になったことを考えると、 それよりは捻った愛称です。 秋田新幹線が「こまち」になっているのは、この路線といえるかも知れません。

2002年、JR東日本が、数年の冷却期間を置いて「あさひ」を廃して「とき」にしたのは 正解でしょう。「とき」は「朱鷺」の意味とされていますが、「時」「疾き」にも 通じますから最速列車として外せない愛称です。

八戸行きは「はやて」になりましたが、実は、この愛称名は戦前に鉄道省が最初に 公募した特急愛称名の結果ベスト10で最後まで(特急はおろか、急行にも) 利用されなかった愛称名です。(トップは「燕」。第1期採用組は「富士」「櫻」) まあ、青森や函館まで延長した時点で消え去る愛称名という気もしますが…。