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ふるさと関連見聞録 鹿の子ゆり Furusato Satumasendai
2013/6/2

 鹿の子ゆりは、薩摩川内市甑島に自生し7月から8月上旬にかけて開花する愛らしい花です。市の花に選ばれている鹿の子ゆりには多くのエピソードがあります。


 鹿の子ゆりは九州、四国の山地の崖などに自生する日本固有のユリで、花弁に子鹿の斑紋のような模様が付いているのでその名がついたといいます。

 鹿の子ゆりは、その原産地により甑島型、長崎型、高知型などがあるそうですが、甑島の原生種は、花弁が大きく反り返るのが特徴で、芳香があるといわれます。

 薩摩川内では、鹿の子ゆり、鉄砲ゆり、オニユリ、山ゆりなどが身近にあり、鹿の子ゆりが珍しいものとの意識はあまりありませんでした。

 もともと日本はユリ大国だそうです。現在日本にある大きく15種のユリのうち、半数が日本にだけに分布する特産種であり、また、観賞価値の高い種であるそうです。

 江戸時代長崎オランダ商館付医師として日本にやってきたシーボルトは、日本の多くの文物をヨーロッパに持ち帰り、「Nippon」、「日本動物誌」、「日本植物誌」などを著し、日本ブームの火付け役になった人物として知られますが、特に、日本固有の植物に関心を示し、藤や桐、紫陽花、ケヤキや木瓜(ぼけ)、アケビの花などをヨーロッパに持ち帰り、その中に、スカシユリと鹿の子ゆりが含まれていたそうです。

 古来ヨーロッパでは、地中海沿岸に純白の自生種が数種みられるだけで、観賞価値のあるものは少なく人々の興味を引く花ではなかったそうでが、シーボルトは、持ち帰った球根から見事なユリの花を咲かせてみせて、ヨーロッパの人々を驚かせたそうです。特に、鹿の子ゆりは、その花の色や花弁が反り返る形がヨーロッパ人の好みに合致し、絶賛されました。

 特にヨーロッパで好まれるユリの女王『カサブランカ』は、「オリエンタルハイブリッド」と呼ばれる系統のユリだそうですが、この系統は、ヤマユリやサクユリ、鹿の子ゆりなどの日本の固有種を主体にして改良された園芸種といいます。

 ユリは鑑賞用というより、食用として中国から日本に伝来したものと考えられています。日本にもユリ根を食する文化があったようですが、江戸時代には鑑賞用にさまざまな品種が作られるようになったそうです。

 明治時代になると球根がイギリス、アメリカ、ドイツ、オランダなどに輸出されるようになり、甑島からも搬出されたといいます。昭和12年(1937年)のピーク時には、日本から年間4000万球が輸出され、日本の重要な貿易品であったといわれます。

 カノコユリを市の花に選定しているのは、長崎県西海市、佐世保市、福岡県宗像市、富山県魚津市、鹿児島県薩摩川内市などです。

≪参考にさせていただいた資料≫
   ワシモさん 鹿の子ゆり
    http://washimo-web.jp/Report/Mag-Kanokoyuri.htm

   その他
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