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定置網 網揚げ体験   (下甑島鹿島)            2010.10.24

 『薩摩川内市シティセールスサポーター』: 薩摩川内が市の良いところを売り込み、観光や定住に結び付けようと市民に協力を呼び掛けて実施している制度です。
 私たち職場のサポーターグループ6人は、薩摩川内市の中でもなかなか訪れる機会のない下甑島に体験と観光の自主研修に出かけ、鹿島町で定置網の網揚げを体験しました。
 
 ここでは、今年の定置網を4日前に設置したばかりで、まだまだ全盛期とは言えませんでしたが、一人を除いては、定置網漁は初めて、とてもいい体験になりました。

 鹿島は下甑島の最北端。定置網は島の東側と西側の両岸に設置されますが、この日の体験学習は、西側の網で行われました。天気は東の風・雨、東側の鹿島漁港を出て藺牟田瀬戸海峡を西海岸へ。この間は、うねりがひどく本当に漁体験をして無事帰ってこれるのだろうかと、とても不安で無口な時間を過ごしました。
 西側の島陰に入ると、そこは嘘のよううな「凪」でした。定置網までは20分程で到着▼
 定置網の仕組み
 定置網の漁法は魚の習性をよく利用しています。
 魚は何かにぶつかると沖へ向かって泳ぐ習性があるそうです。まず、「垣網」という長い網を陸側から沖に向かって張っておきます。回遊してきた魚は、「垣網」にぶつかると沖にある「羽口」のほうに向かって泳ぎ「囲い網」の中に入っていきます。

 「羽口」は、解放されているため、魚が網の中に入っても自由に出られると思うかもしれませんが、ここでも習性が災いします。この場合も陸側に泳いでくることはないそうです。「囲い網」は「運動場」ともいわれるそうですが、運動場には「登り網」といわれる先に進むほど海面側へ上がっていく場所があります。そこを超えると次は再び「箱網」といわれる深いところへ入りこみます。ここに入るともう元に戻ることはできなくなります。

 漁師は、その「箱網」を引き揚げて魚を捕獲します。ここの定置網は大型ですが「箱網」だけでも相当に大きなものです。ですからこの「箱網」に入っている魚を網を引き揚げるだけでも相当の人数を要します。

 写真上は、箱網の部分ですが、今回、私たちはここで網の引き揚げの応援をしました。

 写真下は、囲い網と垣網の部分
 「箱網」の引き揚げは、網を少しづつ絞り込んで小さくして、最後に柄のついた網で魚を船にすくいあげる作業です。
 最初は網を船の動力で徐々に絞っていくため、この時間は甲板の漁師は手持無沙汰です。▲▼
 「箱網」はカーテンのようにちじめられ次第に狭くなっていきます。▲
 大漁の時は、この時点から魚が飛び跳ねるそうですが、今日はあまり入っていないようです。
 対面の船は、魚運搬専用の小型船です。今回捕獲した魚は全てこの船に積み込みました。▲▼
 船にはそれぞれクレーンを備えていて、大漁時はクレーンにつけた網で船にすくいあげます。
 不漁とはいえ、鹿児島の風物詩・・「秋太郎」が入っていました。秋太郎は、この時期鹿児島近海で獲れる芭蕉カジキのことで、鹿児島では秋太郎と呼んでいますが、甑島沖での捕獲が特に多いといいます。▲
 危険防止と鮮度を保つため、船上で口ばしとハラワタの処理がされます。▼
 この日は、秋太郎、カワハギ、トビウオ、ツンブリ、ハガツオなどの魚が獲れました。
 ↓写真下左でお腹を見せているのは、網にかかったウミガメ。この後沖で海に離されました。
 体験者のお楽しみは、揚がったばかりの魚を船上で・・・この日は最近幻の魚といわれるホシガツオの刺身
 カツオに似たスマというのが一般名で胸に小さな斑点があるので甑ではホシガツオと呼ばれている。
 漁師さんの調理で早速舌鼓、醤油はお椀にたっぷり・・・まるでテレビ番組を見ているよう
 帰りは、行く時の不安はどこへやら・・甑島名物の地層談義をする余裕も
 梅雨期の僅かな期間だけ海に流れ落ちる幻の滝もあるといいます。
捕れた魚は、すぐに鹿島漁協の市場に運ばれ、小売りに
 私たち体験者は、珍しいトビウオを大量に買ってお土産にしました。


 ◎甑島の隠れた楽しみ発見

 田舎の定番、朝市は甑島では見られません。甑島の朝は定置網のある漁協の市場が面白い。定置網ではいろんな種類の魚が揚がるため、本土串木野などに運ばれるものを除いて大抵の魚は地元の漁協市場で販売されます。浜値といわれる価格で取引されるためとても安いです。季節のいろんな魚を観賞したあと、新鮮な魚を大量に仕入れて持ち帰る、甑島ならではの醍醐味です。
 
 大型定置網のある漁協は、上甑島平良、下甑島鹿島、長浜、青瀬など